中国人民銀行、独自デジタル通貨「DCEP」正式スタートを示唆

中国人民銀行、独自デジタル通貨「DCEP」正式スタートを示唆

2019年10月28日、中国人民銀行(PBOC)が発行するデジタル通貨名称が「DCEP」であり、実現すれば世界初の中央銀行発行デジタル通貨となることを、政府系研究機関・中国国際経済交流センター(CIEE)副理事長Huang Qifan(黄奇帆)氏が上海で行われた金融会議Bund Summitにて講演した内容で明らかとなった。

会議の様子を撮影した動画はChinaFinance40Forum(CF40)によって公開されている。

PBOCから商業銀行に発行され、そこから顧客(市民)に行き渡る2層構造のDCEPは、まず始めに商業銀行でテストされるという。DCEPは金銭に関連するデータのリアルタイム収集が可能となるため、金銭の提供や金融政策の実施に関する有用な参考資料となる。だが最も重要とされるのは、DCEPが人民元のデジタル化になることではなく、準備金の置き換えだとされる。

また同会議では、外務省国家管理局副署長Lu Lei氏が、国際貿易とマクロプルーデンス規制(金融関連の政策)において、ブロックチェーンと人工知能を使用することを検討すると発表した。

DCEPについてわかっていること

DCEPは、digital currency electronic payment(デジタル通貨電子決済)の頭文字。PBOCの副部長Mu Changchun氏は、DCEPが年末までに発行される可能性があることを示唆している。DCEPという名前は、今年9月にMu氏が発表した内容にて、デジタル通貨プロジェクト名として登場している。当初はPBOCが発行するデジタル通貨は単にDC/EPと呼ばれていた。

Mu氏はこの発表で、DCEPとは、法定通貨で決済するときにアカウントや銀行口座が必要ないように、アカウントなしで決済できる「価値特性を備えた電子決済ツール」と呼んでいる。さらに、DCEPを送金する側・受取る側の双方のスマホに電源が入っていれば、ネットを使わずともオフラインで送受金可能だという。DCEPは偽造するのが難しいこと(中国は偽札大国とも呼ばれる)や、資金の流れが分かることから、犯罪抑止にもなると期待される。

ビットコインは中国では未だ禁止されているが、BTCハッシュレートの約70%は依然として中国マイナーが占めている。DCEPが現実に発行された場合、米国だけでなく、英国EU離脱問題に揺れるEUにも大きなインパクトを与えそうだ。

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2019.10.28