大手会計事務所PwCがブロックチェーンのトレーサビリティシステムに懸念
大手会計事務所であるPwC(プライスウォーターハウスクーパース)の幹部メンバーであるCraig Heraghty氏はオーストラリアのメディアに対してブロックチェーンシステムの理論上の素晴らしさを認めたうえで、現状のままではシステムが提供される保証が証明されないと語っているようだ。
Craig氏の発言は下記の通りである。
食品サプライチェーンへの導入における最大の弱点は、ブロックチェーンや技術的そのものではなく、商品にラベルを張り付けるあのシールだ。あなたは詐欺師の立場で考え、そういったラベルやQRコードはどこがで偽造されていないかといった目線で見る必要がある。
一般的な食品トレーサビリティの管理プロセスとして、生産者が生産する野菜などの農作物や原料にQRコードを割り当て、単体やロット管理することで消費者や上流工程で生産、加工工程をトレースできる仕組みになっている。
この工程間でCraig氏が懸念している点というのが、ブロックチェーンシステムのセキュリティそのものを疑っているわけではなく、結局のところ作業員の手が加わってしまうということである。
つまり悪意ある何者かが、QRコードを不正にコピーしてシールを貼り変えてしまうことへの人的リスクは拭えないということだ。これに関してはシステムを提供している企業がサービスへの信頼度を担保するしかなく、そのためのセキュリティ強化、シールを貼りつけるという以外の新しいテクノロジーを活用した個体情報の確認方法の模索などブロックチェーン企業が目まぐるしく動いているのが現状である。
食品トレーサビリティ管理
現在ネスレやウォルマートなど一部の企業が、IBMのFood Trustプラットフォームの上で食品トレーサビリティの管理を行っている。ウォルマートに関しては、生産者に対してFood Trustへの参加を義務付ける動きを見せており、サプライチェーン全体でのIDコードの管理を進めている。
日本においては、食品などの衛生面が十分に確立されていることからトレーサビリティ管理においての緊急度はそこまで高くないようだが、ブロックチェーンによるサプライチェーンの管理はトレーサビリティの確立だけに留まらず、製品を独自トークンとして価値付けできるところにある。
そのためには、クリアしていかなければならない課題がまだまだ存在するが、QRコードの管理においては今後開発が進み、企業間同士でのシームレスな取引がより促進されることになるだろう。
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