アント・インターナショナル(Ant International)、アジアでのステーブルコイン展開を検討

アント・インターナショナルがアジアでのステーブルコイン展開を検討

ジャック・マー(Jack Ma:馬 雲)氏が出資するアリババグループ(Alibaba Group:阿里巴巴集团)の金融関連会社であるアント・グループ(Ant Group:蚂蚁集团)の海外子会社アント・インターナショナル(Ant International)は、アジアの主要金融ハブでステーブルコインサービス展開の準備を進めている。

この動きは、過去1年間で1兆ドル(143.8兆円)を超えるグローバル取引を処理した世界最大級の決済処理会社にとって、大きな転換点となる。同社は、香港で2025年8月に施行されるステーブルコインの新たな条例に基づき、ステーブルコイン発行ライセンスの申請を計画。同時に、同社はシンガポールとルクセンブルクでもライセンス取得を目指しており、ブロックチェーン分野における事業拡大への意欲を改めて示している。

Whaleプラットフォームを基盤としてステーブルコイン事業

このステーブルコイン事業は、同社の既存のデジタル資産インフラ、Whaleプラットフォームを基盤としている。

このWhaleプラットフォームは既に約3,330億ドル(約47.8兆円)、同社の年間取引量の3分の1を処理している。このプラットフォームは、世界中の銀行や金融機関のトークン化された資産をサポートし、準同型暗号化や多者間検証といった高度なプライバシー保護技術を活用していることでも広く知られている。

アント・インターナショナルは、今回の拡張を通じて、資金フローの効率性と透明性を高めることで、クロスボーダー決済および財務サービスの強化を目指している。ステーブルコインへの機関投資家の関心が高まり続け、この資産クラスの時価総額が2,400億ドルを超えていることから、今回の拡張は戦略的なタイミングと言える。

IPOに向けた新たな準備も

同社はエコシステムをさらに強化するため、HSBC、JPモルガン・チェース、BNPパリバ、スタンダードチャータードなど、10以上の大手グローバル銀行と提携を結んでおり、先日、決済および財務ソリューションの拡張に向けて、ドイツ銀行との新たな提携を発表したばかりだ。

新たに設立された独立した取締役会体制の下、将来のスピンオフおよびIPO(Initial Public Offering:新規公開株式)に向けて準備を進めていると報じられている同社は、香港上場の可能性をかんがみると、評価額は80億ドル(約1兆円)、多ければその3倍の240億ドル(約3兆円)と予測されている。

 

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