バイナンスから盗まれたビットコイン、4836BTCがマネーロンダリング済みか
2019年8月7日、AML(マネーロンダリング対策)とKCY(顧客確認)サービスを提供する企業clain(クライン社)が、今年5月にハッキング被害に遭ったバイナンスから大量に不正流出したビットコインの、その後の流れの調査結果を発表した。
クライン社の調査によると、ハッキングから1ヶ月後の6月12日、ハッカーは仮想通貨のミキシングサービス「Chipmixer(チップミキサー)」を利用して、不正に送金したビットコインのマネーロンダリングを開始。クライン社が提供したChipmixerの資金流通量を見ると、確かに6月12日から突然激増している。
チップミキサーが持つ膨大な送金アドレスを検出したところ、ハッカーがすでに4836BTCを資金洗浄していたことが判明。入金されたアドレスと出金したアドレスを比較した後、4836BTCのうち、183BTCはハッカーに直接関連があり、814BTCはなにかしらの関連性があることも判った。ただし、この資金の流れが、バイナンスをハッキングした人物が行ったものであるか、それを特定する決定的な証拠はない。
ハッキング事件について
バイナンスは2019年5月7日、ハッカーのサイバー攻撃を受け、ホットウォレットにあった7074BTC(現レートで約89億円)が複数のアカウントに不正送金されてしまった。当時レートでは約45億円の被害額だったことを考えると、ハッカーはすぐにでも全額法定通貨に換金したい心境だろう。
ミキシングとは
ミキシング(コインミキシング)とは、MoneroやDASHとは異なり、匿名性の低いビットコインなどの仮想通貨の匿名性を高めるために行う。複数の利用者のアドレス情報を混ぜ、送信元の判別を不可能にする仕組みだ。
このミキシングを企業で行うのが上記のチップミキサーなどのミキシングサービス。ミキシングを希望する人が企業に仮想通貨を送り、集まった(混ぜ合わされた)仮想通貨を希望者たちに再配布するシステムになる。
ビットコインの他、ビットコインキャッシュやライトコインなど、犯罪絡みで需要の多い(それでいて匿名性の低い)銘柄が取扱われる。
ミキシングサービスの正しい使用目的は、個人や企業が「自身と送金アドレスを特定されたくない」ために行うものだ。ところが、今ではもっぱら犯罪者が不正入手した仮想通貨の追跡をかわすために利用される。今年5月にミキシングサービスの「Bestmixer」が欧州捜査機関によって検挙、その後「BitBlender」も閉鎖したことは記憶に新しい。