USDTの”疑惑”が収束するまで警戒は持続するか
Tether(USDT)の周辺が慌ただしい。
米国で仮想通貨ATMサービスを提供しているCoinFlipが、TronベースのUSDTの新規サポートを延期することを同社のTwitterで発表した。
https://twitter.com/CoinFlipATM/status/1123660248370249729
同社が提供するATMサービスで、TRONベースのUSDTのサポートを開始する旨が4月30日に公表されていたが、翌日5月1日に、このサポート開始の延期を発表した。
また、TRON FoundationのCEOを務めるJustin Sun氏は自身のTwitterで、同社が主催するUSDTの報酬プログラムを延期する旨を発表している。
I’ve decided to postpone our #USDT rewards program for future updates until there’s more clarity regarding @bitfinex and @Tether_to. Regardless, I firmly believe stablecoins will continue to play a big role in the blockchain space. $TRX #TRX #BTT $BTT https://t.co/xpe1eA2URK
— Justin Sun (@justinsuntron) May 1, 2019
USDTの発行元であるTetherの親会社iFinexは、現在疑惑の渦中にある。
米ニューヨーク州司法長官Letitia James(レティシア・ジェームズ)氏が、Tetherの親会社iFinexを訴追した件で大きな波紋をよび、動揺が広がっている。
iFinexが運営する仮想通貨取引所「Bitfinex 」の支払い処理を担当するCrypto Capitalの損失補填を目的として、正式な契約等なく、Bitfinexが8億5,000万ドルをCrypto Capitalに送金した疑いがもたれている。そして、これらの資金には、顧客から預かっていた資産及びテザーの準備金7億ドルが含まれていたという話もある。この一件について、Bitfinexからは、訴追内容を否定する文書が公表されているようだが、まだ決着はついていない。
USDTの裏付け資産の存在については、かねてから疑惑の声が上がっていたという背景もある。USDTの発行元となるTetherから、裏付け資産の証明がなされていないことが発端となり、各所では様々な”噂”が飛び交っていた。
もし仮に、今回の訴追内容が完全に事実であった場合、財務体制への疑念が増幅する可能性は否めない。そうなれば、USDTの価値の根本を支えている”裏付け資産”の存在への信用が揺らぐことにもなりかねない。
USDTは中国のOTC取引で重宝されていたり、仮想通貨取引所で基軸通貨として扱われていたりと、その存在感は大きなものとなっている。
今後の展開について、注視する必要がありそうだ。