ビットコインのブロックサイズってなに?
ブロックチェーンとは、ビットコインの原点となったSatoshi Nakamoto(サトシナカモト)氏が提唱した技術でとして現在の仮想通貨の基盤となっています。これは、P2P(ピアツーピア)という既存技術に独自のアイディアを加えることで新たな技術を確立しているのです。
ただし新しい技術ということで、ブロックチェーンでしか使われない専門用語も複数存在します。今回はそんなブロックチェーン専門用語のひとつであるブロックサイズについて解説します。
ビットコインのブロックサイズとは?
ブロックチェーンとは、取引や送金などのトランザクション情報をまとめたブロックとブロック間を結びつけるチェーンによって構成されています。ブロックサイズとは情報をまとめたブロックの容量のことを指します。
仮想通貨によってブロックサイズは異なっていたり銘柄によっては可変のものも存在していますが、ビットコインのブロックサイズは1MB固定されており、ブロックチェーンを構成しているブロックには、これまでの仮想通貨のトランザクション情報が全て記載されています。
ただし、ひとつのブロックに全て記録が集約されているわけではないのです。その理由として時間を追ってマイナーの手により適宜ブロックに情報が書き込まれていくことが挙げられます。
ビットコインの場合、2008年の誕生から今日に至るまで約10分おきにブロックが生成されており、約10年の間に生成されたブロックの数は54万6,000を超えています。このブロック全てにトランザクションの情報が収められています。
ビットコインのブロックサイズは1MBと決められているため、もしブロックサイズが54万6,000MB、つまり546GBあればブロックはひとつで済んだということになります。
しかし、ビットコインのブロックチェーンそのものがハッキングされたことはなく、誕生当初のまま運用され続けています。
スケーラビリティ問題とは?
ハッキングされたことのないビットコインのブロックチェーンですが、ブロックサイズを大きくするべきだと議論されたことはあります。これがスケーラビリティ問題です。
議論の中心にあったのは送金の遅延です。日本円を送金する場合、国内ならば1営業日内に完了し、国際送金であってもミスや問題がなければ1週間程度で送金完了です。
しかし議論されていた2017年夏ぐらいまでは、2週間以上ビットコインが送金されないという事態も発生していました。10分おきにしか生成されないビットコインのブロックでは、マイナーによる送金承認が追いつかなくなっていたためです。この現象は送金詰まりと呼ばれていました。
送金詰まりの解消のためにビットコインは、2017年8月1日にハードフォークを実施しSegwitという技術を導入しました。Segwitとはブロックサイズ内の情報を整理することで、ブロック内に収まる情報量を実質的に増やすというものです。
Segwitが本格的に機能するためには、仮想通貨だけではなく仮想通貨を保管するウォレットの方にも導入する必要があります。そのためハードウォーク後すぐに送金詰まりが解消することはありませんでした。
しかし2018年10月現在では送金詰まりも緩和され、遅くとも1週間程度で送金されるようになっています。この時に実行されたハードフォークでは本来、日時を開けてSegwitの導入とブロックサイズの拡大という2段階で計画されていました。
しかしSegwit導入後にブロックサイズ拡大を中止、現在に至るまでビットコインのブロックサイズは1MBのまま維持されています。
ビットコインキャッシュの誕生
2018年10月現在、ビットコインのスケーラビリティ問題は一旦収束しています。収束した原因が2017年8月1日に行われたSegwit導入のために行われたハードフォークです。
このハードフォークにより、Segwitを導入したビットコインとSegwitを導入していない新しい仮想通貨が誕生しました。この新しく誕生した仮想通貨がビットコインキャッシュ(BCH)です。
ビットコインキャッシュは誕生直後からブロックサイズを8MB 、更に2018年5月に再度ハードフォークを行いブロックサイズを32MBにまで拡大させています。2018年10月現在でのブロックサイズは32MBです。
ビットコインキャッシュのメリットは、知名度の高さです。元々ビットコインがどのようにして送金詰まりを解消するかは国際的に注目を集めていました。その上で誕生したビットコインキャッシュは、ハードフォーク直後から業界内で知らない人がいないほどの認知度を誇っています。
同時に新規銘柄というのも大きな強みです。ビットコインキャッシュにもビットコイン同様に2,100万枚という発行上限が設定されています。
しかし誕生して10年経過したビットコインは、送金ミスや保管していたウォレットの紛失などで行方不明となったものも多く存在します。
2018年10月現在、ビットコインとビットコインキャッシュの総発行枚数はほぼ同数です。ですが行方不明分を除いた実質的な流通枚数は、ビットコインキャッシュの方が多いと考えられています。
逆にデメリットとしては、ブロックサイズ拡大による潜在的問題があるのではないかという不安です。
ビットコインのブロックチェーンはハッキングされていませんが、この要因のひとつとして考えられているものにブロックサイズの小ささがあります。1MBという小さなブロックサイズには、ウイルスはマルウェアのような悪意あるコードを入れ込む余地が無かったのではないかという考え方です。
一方でビットコインキャッシュは、ブロックサイズを32MBまで拡大しました。ここまでブロックサイズが拡大すると、悪意あるコードを入れる余地があるのではないかという不安が残されています。