規制の刷新に伴うブラジル初の正式登録
時価総額でラテンアメリカ最大規模を誇るブラジルの民間金融大手イタウ・ウニバンコ(Itaú Unibanco)は、同国の金融規制当局が求めている最新のデジタル資産規制に基づき、暗号資産の取引およびカストディ(保管・管理)サービスを担う事業者としての登録を完了させた。
今回の手続きにより、イタウはブラジル中央銀行の新たな規制枠組み下で暗号資産事業を公式に届け出た最初の銀行としての地位を確立することになる。この届出は、証券会社等に適用される厳格な業務基準と同等の要件を満たすものであり、同行がこれまで展開してきたデジタル資産関連事業を正しく国内法制の枠組みへ組み込む重要なプロセスとなる。中央銀行による現行のルールでは、既存の認可金融機関は所定の届出を行うことで仮想資産サービス提供会社(SPSAV)としての業務展開が可能となっている。
取扱資産の拡大と堅牢な自社インフラ
イタウは2022年のトークン化プラットフォーム構築や、個人向け投資アプリ「íon」を通じたビットコイン(Bitcoin/BTC)売買サービス開始など、早くから暗号資産領域への参入を進めてきた。現在では、ビットコインやイーサリアム(Ethereum/ETH)、ソラナ(Solana/SOL)、XRP、米ドル連動型ステーブルコインのUSDCを含む15種類以上のデジタル資産に対応している。
同行のサービスでは、顧客は10レアル(約295年)という小額から暗号資産取引を始めることができ、購入した資産は外部へ委託するのではなくイタウ自体の堅牢な金融インフラ内で安全に保管される。自社で一貫した管理を行うことで、顧客資産と自社資産の厳格な分別管理を実現し、高い顧客保護と法的安全性を担保している。
強化される法的枠組みと市場の再編
ブラジル中央銀行は決議520号などを皮切りに、暗号資産市場に対するガバナンス、セキュリティ、AML(マネーロンダリング(資金洗浄)防止)基準の強化を進めている。
2026年より順次施行・強化される一連の規則では、顧客資産の分離保管や最低資本要件が課されるほか、国境を越える無認可業者との送金制限や、資本基盤が脆弱な小規模金融機関(セグメント5)によるサービス提供の禁止など、業界全体の財務的健全性が厳しく問われるようになる。
こうした高水準なコンプライアンスや高い監査費用への対応が難しく、市場から撤退する小規模事業者が現れる一方で、バイナンス(Binance)などの大手外資系事業者も現地法人を通じたライセンス申請するなど、市場の選別が進んでいる。
強固な資本力とガバナンス体制を備えたイタウ・ウニバンコの正式登録は、過渡期を迎えたブラジルの暗号資産市場において、金融セクター主導による安全な取引環境の構築を力強く後押しする動きと言える。























