タイ最高裁、強盗事件の判決でビットコインを貨幣ではなく「財産」と認定

タイ最高裁がBTCを刑法上の「財産」と歴史的判断

タイ最高裁判所は、強盗事件(事件番号4929/2569)の全法廷(大法廷)判決において、暗号資産のビットコイン(Bitcoin/BTC)を刑法上の「財産」と認定する歴史的判断を下したことが現地メディアによって報じられた。

日本語訳:
速報:タイ最高裁判所がビットコインを正式に合法的な財産として認めました。

被告側は「暗号資産は実体がなく法的通貨でもないため、盗難・強盗の対象となる財産には当たらない」と主張し無罪を訴えていたが、最高裁はこの訴えを退けた。裁判所は、タイの民商法典第137条・第138条(有形・無形の経済的価値や所有権に関する規定)および2018年施行の「デジタル資産事業に関する緊急政令」を参照。ビットコインは市場で測定可能な経済的価値を有し、現金に換金可能で個人が占有・保有できる性質を備えているため、無体物であっても刑法上の財産権を保護する対象になると明確に示した。

サムイ島で起きた暗号資産強盗事件の全容

今判決の契機となったのは、2022年9月にタイの観光地サムイ島で発生した強盗事件だ。外国人男性らで構成されたグループが、被害者とそのロシア人妻に対し、幼い子供の安全を脅かす言葉を投げかけ、暴力を振るって脅迫。恐怖に陥った被害者は、所有していた5万ドル(約790万円)を2.480801 BTCに換金し、指定されたウォレットへ送金させられた。

被告人は犯行に用いられた車や宿泊先、フェリーの手配など逃亡計画を取り仕切った共同正犯として起訴された。第一審では懲役15年の判決が言い渡されたが、証拠提出などを受け3分の1が減刑され、懲役10年の実刑となった。控訴審および最高裁でもこの判決が維持され、被告に対して奪った2.480801 BTCの返還、または当時の換算額である187万8,000バーツ(約879万円)の損害賠償が確定した。

資産と決済手段の明確な線引きとタイの最新規制

今回の最高裁判決は、ビットコインを財産犯罪の保護対象たる「財産」と認めたものであり、国内で法定通貨(決済手段)として認めたわけではない。タイ中央銀行およびタイSEC(証券取引委員会)は、過度な価格変動のリスクから暗号資産による直接的な商品・サービス決済を規制しており、反する事業者には罰金を科す方針を貫いている。

一方でタイ政府は、投資や観光の観点から暗号資産の活用を積極的に推進している。2025年1月からは認可を受けた取引所での売却益に対するキャピタルゲイン税を一部免除したほか、同年8月には観光客がデジタル資産をバーツに換金して消費できるサンドボックスTouristDigiPay(ツーリスト・デジペイ)を開始。さらに2026年10月には、タイ証券取引所におけるビットコインおよびイーサリアム(Ethereum/ETH)の暗号資産ETF(上場投資信託)上場が解禁されるなど、投融資・観光向けインフラの整備を進めている。

東南アジアで増加する暗号資産を狙った暴力犯罪

タイ国内では近年、暗号資産の所有者を直接狙った暴力事件が相次いでいる。パタヤでは銃を持った強盗団が自宅に押し入り82万ドル(約1.3億円)相当の暗号資産や高級時計を強奪する事件が発生したほか、プーケットでも暗号資産をめぐるトラブルからロシア人が襲撃される事件が報告されている。

さらに、暗号資産を用いた大規模な国際マネーロンダリング(資金洗浄)事件で外国籍の容疑者が摘発されるケースも増加傾向にある。最高裁がビットコインの財産権を保護対象として明確化した背景には、こうしたデジタル資産を巡る新たな犯罪に対して、法的な処罰の根拠を確立する狙いもあったとされる。

 

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