アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は仮想通貨を宣伝し弾劾へ
アルゼンチンのハビエル・ミレイ(Javier Milei)大統領が、根拠のない仮想通貨プロジェクトを宣伝したことで弾劾の危機に直面している。
ロイター通信の報道によると、大統領がSNS上でミームコイン「LIBRE」を支持する投稿を行った直後に価格が急騰し、その後急落。これにより、多くの投資家が損失を被り、野党議員らが弾劾を強く推し進めている。
ミレイ大統領はXにおいて、「アルゼンチンの経済成長を刺激する民間プロジェクト」としてLIBREトークンを称賛する投稿をした。しかし、この投稿が投資家の熱狂を煽り、LIBREはわずか数時間で0.006ドルから5ドル近くまで急騰。その後、6時間以内に0.84ドルまで暴落し、価格操作の疑惑が浮上した。アルゼンチンのフィンテック協会は、この事件を「ラグプル(詐欺的な価格操作)」とし、開発者が意図的に価格を操作し利益を得た可能性があると指摘している。さらに、投資家は大統領の支援があると誤解し、LIBREに多額の資金を投じていたことが判明した。
大統領の釈明と弾劾手続き
ミレイ大統領は批判が強まる中、投稿を削除し「プロジェクトの詳細を知らなかった」と釈明したが、アルゼンチン国内ではこの説明に対する疑念が広がっている。
同メディアによると、野党の主要政治家たちは、この一件が国際的な信用問題に発展する可能性を指摘しており、一部の議員は正式な弾劾手続きを求める声を上げている。アルゼンチン大統領府はLIBREトークンに関する公式調査を発表し、「ミレイ氏が関与していなかったことを証明する」としている。しかし、報道によるとミレイ氏は過去にKIPプロトコルの関係者と会談していたことが判明しており、大統領自身の関与を疑う声も強まっている。
仮想通貨市場の影響と投資家の反応
LIBREスキャンダルの影響は仮想通貨市場にも波及しており、一時的な動揺が見られた。
特にアルゼンチンペソの下落が続く中、投資家の間ではビットコイン(Bitcoin/BTC)や米ドルへの資産移動が加速している。また、アルゼンチンの金融規制当局は「政治家による仮想通貨の宣伝が市場を混乱させるリスク」を指摘し、今後類似の事例を防ぐための規制強化を検討している。
過去のCoinX事件との関連と今後の展望
LIBREトークンのスキャンダルとともに、過去にミレイ大統領が推奨した「CoinX」についても改めて問題視されている。
2021年、ミレイ氏はCoinXをインフレ対策として宣伝したが、その後同プロジェクトがポンジースキームの疑いで閉鎖され、多くの投資家が被害を受けた。
今回のLIBREスキャンダルとCoinXの過去の事例が重なったことで、ミレイ大統領の金融知識や倫理観に対する批判がさらに高まっている。LIBREトークンの価格操作疑惑とミレイ大統領の弾劾手続きは、アルゼンチンの政治と経済に大きな影響を及ぼす可能性がある。議会が弾劾を進めるかどうか、そしてLIBREスキャンダルがどのような結末を迎えるのか、今後の動向が注目される。