220億ポンド規模の旗艦ファンドとデジタルツイン構造の全貌
英国の大手保険グループ傘下であるアビバ・インベスターズ(Aviva Investors)は、同社最大規模の旗艦ファンド「アビバ・インベスターズ・スターリング・リクイディティ・ファンド(Aviva Investors Sterling Liquidity Fund)」において、XRP Ledger(XRPL)を活用した新たなトークン化受益権クラス(シェアクラス)をローンチした。
このプロジェクトは暗号資産ソリューションを提供するリップル(Ripple)社との共同発表であり、両社が進める中長期的な戦略的パートナーシップの一環だ。今回の施策により、アビバは欧州におけるトークン化MMF(マネー・マーケット・ファンド)分野でのリーディングカンパニーとしての地位を一段と確固たるものにした。
対象となったスターリング・リクイディティ・ファンドは、2002年にアイルランド籍UCITS(欧州投資信託規制)準拠ファンドとして設定され、運用資産残高は約220億ポンド(約4.6兆円)を誇る。主に質の高い短期英ポンド建て債務証券に投資し、極めて低いリスクで日次流動性を確保する設計が特徴だ。
今回の導入において着目すべきは、ファンドの運用資産そのものが直接ブロックチェーン上へ移行されるわけではない点だ。採用されたデジタルツイン構造により、従来の規制フレームワーク、カストディ(資産管理)体制、リスクプロファイル、持分に伴う投資家保護をそのまま維持しつつ、持分情報(受益権)のみがXRPL上のデジタル化されたトークンとして表現される。
適格投資家は、従来の法的な安心感を享受しながら、デジタルウォレットを介してトークン化された株式にシームレスにアクセスできる。裏付けとなる現物資産の保管・管理は既存カストディアンのBNY(旧BNYメロン)が担い、デジタル資産のカストディにはKomainu(コマイン)、トークン化インフラにはLicuido(リクイード)が協力している。
投資拡大の背景と機関投資家市場での意味合い
アビバは今回の新しい英ポンド建てシェアクラスに対し、自ら5,000万ポンド(約105億円)の新規資金を投入した。
同社は2024年7月にもXRPL上で米ドル建て流動性ファンド(USD Liquidity Fund)のトークン化を実施しており、今回の施策はそれに続く第2弾となる。これにより、同社がXRPL上で提供する2つのトークン化シェアクラスの合計運用額は8,600万ポンド(約180億円)を超過した。
アビバ・インベスターズのマーク・ヴァーシー(Mark Versey)CEO(最高経営責任者)は、トークン化技術が業務効率化と顧客の運用成果向上に寄与する点を強調し、今後も同分野で先進的な試みを継続する意向を示している。
一方、リップル社のナイジェル・カクー(Nigel Khakoo)SVP(Senior Vice President:シニア・バイス・プレジデント=上級副社長)も、機関投資家に要求される厳格なコンプライアンスやセキュリティをXRPLが満たしている点をアピールした。
ブロックチェーン技術を用いた金融資産のオンチェーン化(RWA:現実資産のトークン化)は、伝統的金融機関の間で急速に広がっている。先般もフランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)がXRPL上でトークン化ファンドの規模を大幅に拡大させたほか、ブラジルの証券インフラなどでも同様のデジタルツインモデルが採用されている。
なお、今回のトークン化事例は持分の記録方法に関する技術的革新であり、8,600万ポンド分の暗号資産XRPが直接買い付けられるわけではない。取引時の手数料として極めて僅かなXRPが消費される仕様となっており、本取り組みの本質は暗号資産の直接的な価格押し上げではなく、パブリックブロックチェーンのインフラとしての信頼性と実用性が既存の国際的金融機関に認められた点にある。
























