米国司法省が仮想通貨執行チームを設立
DOJ(米国司法省)は、仮想通貨の犯罪的誤用の調査と起訴に取り組み、これら犯罪からの違法な収益を回収するため、全国的な仮想通貨執行チームの設立を発表したことが分かった。
NCET (National Cryptocurrency Enforcement Team)と呼ばれるこのチームは、詐欺やハッキングによって失われた資産の追跡と回収や、仮想通貨取引所でのマネーロンダリングへの対策を主な目的としている。DOJは10月6日(水曜日)のプレスリリースで、「仮想通貨の犯罪的誤用を阻止、妨害、調査、起訴し、可能な限りこれらの犯罪の違法な収益を回収する」とアナウンスし、DOJの副長官であるリサ・O・モナコ(Lisa O. Monaco)氏は次のように語っている。
犯罪者が仮想通貨プラットフォームを悪用することで繁栄し、利益を得ることができる金融機関を解体する予定です。テクノロジーが進歩するにつれて、これらのプラットフォームでの悪用を根絶し、これらのシステムに対するユーザーの信頼を確保する準備ができるように、部門もテクノロジーとともに進化する必要があります。
米国による仮想通貨関連の違法行為の取り締まり強化
モナコ氏は、現在の仮想通貨取引所は、違反が発覚した際に、申告するよりも隠す方がリスクも少ない状態となっており、仮想通貨取引所が未来の銀行となるため、これらの事実に対策していく考えを明らかにしている。
The Aspen Institute「2021 Aspen Cyber Summit: DAY 2」より動画引用
仮想通貨はこれまで、マネーロンダリング(資金洗浄)やハッキングなどのあらゆるサイバー犯罪の温床であり、法執行機関が業界の違法行為者を取り締まりたいと思うのは当然だと考えられる。2021年初め、コロニアルパイプラインのハッキングにより、230万ドル(約2億5,600万円)相当のビットコインが盗まれた事件を機に、米国の法執行機関と規制当局は、本格的に違法な仮想通貨取引への対策を模索している。
モナコ氏はランサムウェアやサイバー攻撃に対する米国政府の対応の中心人物であり、コロニアルパイプラインシステムへの攻撃の際にも、数百万ドル相当のビットコインを取り戻す中心人物として活躍した経歴を持っている。
一方、バイデン政権は2021年9月、NEXTMONEYの特集記事「財務省はランサムウェア攻撃と戦うため仮想通貨取引所Suexに初の制裁を発令」および「米・財務省、ランサムウェアの支払いを処理の疑いでSuexをSDNリスト入り」で報じたように、ランサムウェアの支払いをロンダリング支援したとして、ロシアに拠点を置く仮想通貨取引所であるスSuexをブラックリストに載せている。米国政府が仮想通貨取引所をブラックリストに追加するのはこれが初めての出来事であり、仮想通貨取引所によるサイバー犯罪への問題意識の高さがうかがえる。