財務省はランサムウェア攻撃と戦うため仮想通貨取引所Suexに初の制裁を発令

米国財務省がランサムウェアに関連する仮想通貨取引所に初の制裁を発令

米国財務省は最近、増大するランサムウェア攻撃の問題と戦うために、仮想通貨取引所に対して初の制裁を発令したことが明らかになった。

ロシアを拠点とする仮想通貨取引所であるSuexは、多くのマネーロンダリングの温床であるとされており、実にトランザクションの40%が、ランサムウェアの攻撃者やその他のサイバー犯罪者からの支払いなど違法な活動に関与している。仮想通貨追跡会社Ellipticによると、Suexでの違法活動には合計3億7000万ドル(約405億円)以上の仮想通貨が処理されているみられる。そのため、当NEXTMONEYの特集記事「米・財務省、ランサムウェアの支払いを処理の疑いでSuexをSDNリスト入り」で報じているように、SDNリストと呼ばれるブラックリストに追加された

2020年に急増したランサムウェア

ランサムウェア攻撃は2020年に300%ほど急増。「ビットコインへのサイバー攻撃が2020年10月以降200%も急増」しており、使用しているコンピューターを強制的にロックしたり、コンピューターの中にあるファイルを暗号化して、元の状態に戻すことと引き換えに身代金を要求し、サプライチェーンと重要なインフラストラクチャーに重大な損害を与えている。

実際、「米国法執行官がコロニアルパイプライン、マイクロソフト、仮想通貨の取り締まりを語る」などで報じたように、米国で最大の燃料パイプラインの1つであるコロニアルパイプラインや、アイオワの穀物協同組合などがサイバー攻撃に見舞われており、重大な問題であると認識されている。さらにChainanalysis(チェイナリシス)の報告によると、Suexはビットコインだけで1億6000万ドル(約175億円)以上をロンダリングし、モスクワ、サンクトペテルブルク、そしてロシア以外の物理的な支店でこれらの収益を現金化したとみられている。

財務省は仮想通貨の大部分については合法的であるとの見解を示しているが、悪意ある攻撃者により、ランサムウェア攻撃などのサイバー攻撃の対象とされていることも事実である述べた。また、仮想通貨やブロックチェーンは中央集権的ではなく、分散型の性質を持っているため、サイバー攻撃が発生した際にハッカーの追跡がより困難になる可能性が指摘されている。

米国財務省は度重なるランサムウェア被害で対策を見直し

一方財務省は、外国資産管理局を通じて、以前はランサムウェアの開発者と販売業者を認可していたが、度重なるランサムウェアの被害によりその対応を見直している。

財務長官のジャネット・イエレン(Jenet Yallen)氏はランサムウェアについて次のように語っている。

ランサムウェアとサイバー攻撃は、アメリカ全土の企業に被害を与えており、私たちの経済に対する直接の脅威となっています。サイバー犯罪者はますます高度な方法とテクノロジーを使用しているため、制裁や規制ツールを含むあらゆる手段を使用して、ランサムウェア攻撃を妨害、抑止、防止することに取り組んでいます。

当局者によると、今後は、デジタル通貨の分野で犯罪者に対する制裁措置がさらに強化されることが予想されており、ハッカーの追跡などにも新たな対策が実施される予定だ。

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