国家基幹インフラとしての技術統合と戦略的位置づけ
中央サイバースペース委員会が公表した「国家情報化第15次5か年計画」にて、中国は、2030年を目標に「国家ブロックチェーンネットワーク」の構築を完了させる方針を明確に示した。
暗号資産(仮想通貨)に対する厳しい規制を維持する一方で、その基盤技術であるブロックチェーンを国家基幹技術の柱として強力に推進する中国の政策方針が、改めて浮き彫りとなっている。今回の計画において、ブロックチェーンは単なるデータ管理技術にとどまらず、国家のデジタル基盤を支える重要分野として位置づけられている。
中国政府は、次世代通信規格「6G」の商用化、インテリジェント・インターネット、コンピューティング・インフラ、衛星通信、そしてAI(人工知能)への投資と並び、ブロックチェーンの開発を最優先課題に挙げている。
この構想は、陸・海・空および宇宙までを網羅する包括的なネットワーク・インフラの構築を目指すものだ。中央の基幹ネットワークを拡充した上で地域拠点を相互接続し、分散型デジタルIDサービスの強化を図ることで、技術的な自立とサイバースペースにおける安全保障の確立を狙っている。また、技術標準の標準化やセキュリティ法規制の強化も並行して進められる。
実体経済への深い統合と地域別活用シナリオ
中国指導部が推進する新質生産力(新たな生産力)の発展に向けた政策枠組みでは、先進技術を実体経済へ深く統合することが強調されている。特にブロックチェーン技術に関しては、産業のデジタル化やデータ流通の円滑化を促進するための主要ツールとして期待されている。
この計画では、地域ごとの産業特性に応じた具体的な活用モデルが提示されているのが大きな特徴だ。
長江デルタ地域:
貿易および金融分野における高度なブロックチェーン活用を促進
成渝(成都・重慶)地域:
製造業や農業分野における大規模な技術導入と効率化を優先
このように、産業エコシステム全体に技術を浸透させることで、経済・社会活動における総合的なデジタル化の底上げを図っている。
暗号資産の全面禁止と技術単体推進の二極化政策
中国のブロックチェーン戦略を理解する上で不可欠なのが、暗号資産に対する極めて厳格な姿勢だ。2019年10月に習近平国家主席がブロックチェーン技術への投資拡大と自国技術の強化を表明して以来、国家的な後押しが続いている。
しかしその一方で、民間主導の暗号資産取引や関連事業に対しては一切の妥協を許していない。規制当局は、人民元に連動するステーブルコインの発行や、RWA(現実世界資産)のトークン化といった最新の取り組みも含め、暗号資産に関連する金融活動を厳しく制限・禁止し続けている。
中国は、投機的な金融要素を排除した上で、ブロックチェーンという基盤技術のみを国家主導で管理・応用するという明確な二極化戦略を堅持。2030年のネットワーク完成に向けて、自国主導のデジタル経済圏形成に向けた取り組みが本格化している。























