OKX-ICEによるトークン化構想の概要と拡大する反発
暗号資産取引所OKXと、NYSE(ニューヨーク証券取引所)の親会社であるICE(インターコンチネンタル取引所)が進める株式トークン化構想において、発行体企業からの反発が急速に広がっている。
直近ではウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)、シスコシステムズ(Cisco Systems)、インテュイット(Intuit Inc.)、アーム・ホールディングス(Arm Holdings plc)、モデルナ(Moderna)、マーベル・テクノロジー(Marvell Technology)の6社が新たに拒否反応を示し、自社株のトークン化取り扱いに反対する企業は計22社に達した。
OKXとICEの合弁事業「OKXICE」は、米国の主要63銘柄をブロックチェーン上でトークン化し、暗号資産の強みを生かした24時間365日のリアルタイム取引や、ステーブルコインを用いた即時決済を実現するプラットフォームの設立を目指している。取引にはOKXの独自ネットワークXLayerや分散型取引所Uniswap v4の仕組みが導入される計画だった。
しかし、当初の構想に対し企業側からの異議申し立てが相次いでいる。10月中旬時点で9社だった反対企業は、16社、そして22社へと短期間で拡大。先陣を切って反対を示したマイクロソフト(Microsoft)、グーグルの親会社であるアルファベット(Alphabet Inc.)、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、ベライゾン(Verizon)、ブロードコム(Broadcom)などに加え、金融・IT・バイオ・半導体といった各界の巨大企業が足並みを揃えて懸念を表する異常事態となっている。
異議を可能にしたSECの新規制イノベーション免除
今回の反対運動の背景には、SEC(米国証券取引委員会)が9月に導入した規制ルール「イノベーション免除」が存在している。この規定では、発行体と無関係の第三者が主導して株式をトークン化し上場させる際、プラットフォーム側は事前に該当企業へ書面で通知する義務が課されている。
通知を受けた企業には30日間の検討猶予が与えられ、この期間内に異議が申し立てられた場合、プラットフォーム側はその第三者によるトークン化株式を提供することが法的にできなくなる。主要22社がこの権利を行使したことで、OKXICEが推進しようとしていた主要銘柄のトークン化計画は大幅な見直しを余儀なくされている。
制度的欠陥への懸念と株式トークン化市場の展望
企業側が相次いで異議を唱える要因として、規制やセキュリティ面での不透明さが挙げられる。
今回公開された規制文書によれば、同プラットフォームには急激な価格変動を抑えるサーキットブレーカーが導入されておらず、ブロックチェーン特有の順序操作による不当利益(MEV)への対策も不十分とされている。
さらに、スマートコントラクトの任意更新権限や内部監査にとどまる管理体制など、投資家保護や最良執行の観点で課題が多く残されており、ナスダックなども「現段階での参加には慎重であるべき」と警鐘を鳴らした。
もっとも、各企業はブロックチェーン技術そのものを拒絶しているわけではない。OKXICEの共同議長であるアンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)氏が「初期市場に対する想定内の反応」と語るように、企業側はインフラや法的権利の整備を見極めている段階と言える。
モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)をはじめとする大手金融の参入や数兆ドル規模とされる市場予測もあるなか、発行体の権利を守りつつ安全なインフラを構築できるかが、今後のトークン化市場の成長を左右する鍵となりそうだ。























