フィデリティがイーサリアムETFにステーキングと配当機能追加に向けてSECへ申請
米国資産運用大手フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)は、同社が運用するイーサリアム(Ethereum/ETH)現物ETF(上場投資信託)、FETHフィデリティ・イーサリアム・ファンドにおいて、保有する資産のステーキング導入と投資家への分配金支払いを可能にする登録届出書の修正案をSEC(証券取引委員会)に提出した。
2024年のETF提供開始当初、規制上の理由から意図的に除外されていたステーキング機能だが、規制環境の変化に伴い既存ファンドの価値向上を目指して大きな舵を切ることとなる。
最大100%のETHを運用、インフラ構築と報酬の仕組み
今回の申請内容によると、FETHは日常的な解約対応や経費、流動性の確保に必要な分を除き、保有するイーサリアム(ETH)の最大100%をステーキングに回す方針だ。
具体的なインフラ構成として、Blockdaemon(ブロックデーモン)やFigment(フィグメント)、Galaxy(ギャラクシー)といった実績のあるノードオペレーターに委託し、カストディアン=資産管理機関を経由してバリデータを運用する。
獲得したステーキング報酬のうち85%はファンド側が保持し、残る15%がノードオペレーターやカストディアン、スポンサーへの手数料に充てられる。また、ファンドに残った純報酬はまず運営費用に充当され、最終的に四半期ごとの現金分配金として株主に支払われる設計だ。
なお、分配金の支払いは確約されたものではなく、流動性確保のためにETHを売却するケースや、バリデータのペナルティ(スラッシング)リスク、アンステーキング時の資産ロックといった流動性上の課題も明記されている。
米財務省・IRSによるセーフハーバー規定が後押し
暗号資産ファンドによるステーキング機能の導入が進む背景には、米国財務省およびIRS(内国歳入庁)による規制緩和がある。
2025年11月に提示されたセーフハーバー(免責規定)に関する通達により、特定の要件を満たす信託(グラントー・トラスト)は、税務上の優遇措置を維持したままステーキング利回りを得ることが可能となった。この通達では獲得した純報酬を最低でも四半期ごとに分配することが条件づけられており、今回のフィデリティの申請構造もこのルールに沿ったものとなっている。
米国市場におけるイーサリアムETFの競争激化
FETHは2024年7月の設定以降、20億ドル(約3,186億円)を超える累計純流入を達成するなど市場で確固たる地位を築いてきた。
しかし、2025年10月に現物暗号資産商品として初めてステーキングを導入したグレースケール(Grayscale)や、2026年2月にステーキング特化型ETF「ETHB」をローンチしたブラックロックなど、競合他社が利回りを提供する中で、ステーキング非対応である点がFETHの弱みとして指摘されていた。
今回の申請がSECに承認されれば、既存の現物ファンド枠組の中でステーキング利回りを組み込んだ先進的な事例となる。利回りの付加価値が加わることで、米国のイーサリアムETF市場におけるシェア獲得争いはさらに加速すると見込まれ、注目が集まっている。
























