テザー社がイラン関連USDTの5億5,000万ドル凍結に協力
ステーブルコイン発行大手のテザー(Tether)社は、米国の制裁拡大や法執行機関との連携強化を受け、2026年に入りイラン関連のウォレットに保有されていた約5億5,000万ドル(約865億円)相当のUSDTを凍結したことを明らかにした。
この動きは、パブリック・ブロックチェーンの透明性が違法資金の追跡やテロ資金供与の阻止にいかに寄与するかを示すものとして注目を集めている。
段階的に進められたイラン関連資金の凍結
テザー社による一連の凍結措置は、OFAC(米国財務省外国資産管理局)をはじめとする日米欧などの当局による調査や制裁指定と連動して行われた。
4月の初期措置:
4月、米当局から提供された情報に基づき、イラン中央銀行に関連する2つのウォレットで計3億4,400万ドル(約541億円)のUSDTが凍結された。その直後、OFACはこれらテーラー社の対応と歩調を合わせるように、該当アドレスを制裁対象リスト(SDNリスト)に追加した。
7月の追加措置:
7月には、米財務省がTRONネットワーク上のアドレスを中心に制裁対象を拡大した事態を受け、さらに4つのウォレットで計1億3,000万ドル(約204.5億円)が凍結された。
累計額の達成:
これら春から夏にかけての大型措置に加え、1月から9月にかけて実施された小規模な凍結分を合わせることで、2026年のイラン関連凍結総額は5億5,000万ドル規模に到達した。
また、NBCTF(イスラエルのテロ資金供与対策局)とも緊密に連携しており、IRGC(イスラム革命防衛隊)などの関連アドレスを含む40件以上の事案において、計2200万ドル規模のUSDT凍結を実現している。
世界的な法執行機関との広範な協力実績
今回のイラン関連の凍結は、テザー社が推進するグローバルな犯罪対策および法執行機関への協力体制の一環である。同社は現在、世界67カ国・340以上の法執行機関とネットワークを構築し、これまでに2,800件以上の捜査を支援してきた。
こうした取り組みにより、世界全体で凍結された資産の総額は49億ドル(約7,709億円)以上に上り、そのうち米国の機関が関与する案件だけでも24億ドル(約3,776.4億円)を超える。直近では、5,200万ドル(約81.8億円)規模の詐欺拠点摘発や、6,100万ドル(約96億円)規模の投資詐欺事件の捜査などにおいて、DOJ(司法省)やFBI(連邦捜査局)、HIS(国土安全保障捜査局)といった主要機関からその貢献が公式に認められている。
ブロックチェーン技術を活用した透明性の追求
テザー社のパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)CEO(最高経営責任者)は、今回の発表に際してパブリック・ブロックチェーンの特性について言及している。「パブリック・ブロックチェーンは、現金では到底不可能なレベルで資金の動きを可視化する」と述べ、違法行為に関する信頼できる情報が当局から提供されれば、即座に対応が可能であるとの姿勢を示した。
同社は凍結方針をOFACのSDNリストに厳格に適合させており、発行後に当該トークンを保有するようになった二次市場のウォレットも対象に含めている。米財務省がデジタル資産を新たな制裁対象として取り締まりを強化する中、テザー社と各国の当局によるダイレクトな連携体制は、暗号資産エコシステムにおけるコンアプライアンスの基準を再定義しつつある。
























