ナイジェリアはバイナンス幹部ティグラン・ガンバリアン氏に対するすべての告訴を取り下げ
バイナンス(Binance)の金融犯罪コンプライアンス責任者であるティグラン・ガンバリヤン(Tigran Gambaryan)氏が、8カ月の獄中生活を経て、ようやくナイジェリアの刑務所から釈放されたことが明らかになった。
2024年10月23日(水曜日)に政府は、彼に対するマネーロンダリング(資金洗浄)事件を取り下げており、この決定は、EFCC(Nigerian Economic and Financial Crimes Commission:ナイジェリアの経済・金融犯罪委員)を代表する弁護士、エメカ・ヌワイト(Emeka Nwite)判事によって確認されたとのことだ。
ガンバリヤン氏はナイジェリアの首都アブジャで同僚のナディーム・アンジャワラ(Nadeem Anjarwalla)氏とともに逮捕され、勾留中、彼は背中の怪我やマラリアなど深刻な健康問題に直面しており、先週、彼は病気で法廷審問に出席できなかったとのこと。
ナイラ暴落で仮想通貨の利用が急増
この数カ月の間、バイナンスとガンバリアンの家族はナイジェリア当局に告訴を取り下げるよう嘆願し、この事件は見せかけのものだと訴えていた。
ナイジェリアは仮想通貨導入の温床となっており、ナイラが暴落する中、数百万人がステーブルコインに目を向けており、同国の経済状況が芳しくない中での動きのようだ。実際、2024年のこれまでのところ、ナイラの対米ドル価値は約70%を失い、10月中旬には1ドル=1,717ナイラまで下落した。インフレ率は30%を超え、ナイジェリア国民は代替通貨を探すようになったことで、仮想通貨が支持されている。2023年7月から2024年6月にかけて、ナイジェリアでは590億ドル(約8.9兆円)相当の仮想通貨取引が行われ、仮想通貨の普及では世界第2位だ。
ナイジェリアではあらゆることに仮想通貨が使用されている
ナイジェリア人は今、あらゆることに仮想通貨を使用しており、これらの取引の85%以上が100万ドル(約1.5億円)以下の少額取引であり、これは大口投資家だけでなく、生き残りをかけた一般庶民の取引でもある。
第1四半期には、30億ドル(約4556.5億円)のステーブルコインが、請求書の支払いや食料品の購入といった日常的な取引に使われている。このような仮想通貨の爆発的な増加は政府の注目を集め、バイナンスがトラブルに巻き込まれており、ナイジェリア政府は、バイナンスが追跡不可能な取引を可能にしたことでナイラの暴落に貢献したと非難。さらに当局は、出所不明の取引からバイナンスを通じて260億ドル(約3.9兆円)が流れたと主張し、それが100億ドル(約1.5兆円)の罰金につながったとのこと。
一方で、仮想通貨は反撃の手段にもなっており、2020年のEndSARS抗議デモでは、警察の横暴に反対する活動家たちが、政府が従来の銀行口座を凍結した際、活動資金を調達するために仮想通貨が利用されている。
仮想通貨の非中央集権的な性質は、当局が寄付をブロックすることを不可能にし、それが運動のスポンサーとなった。しかし、FIU(Financial Intelligence Unit;金融情報機構)は、マネーロンダリング(資金洗浄)やその他の違法行為に仮想通貨が使用されるケースが増えていると報告していることが問題視されている。