EU、OKXの1億ドル超資金洗浄疑惑を調査
EU(欧州連合)規制当局は、仮想通貨取引所OKXがBybitのハッキング事件で盗まれた1億ドル以上の資金をロンダリングした疑いで調査を開始した。
2025年3月6日(木曜日)、ESMA(欧州証券市場監督局)が会議を開催し、EU各国の規制当局がOKXのDeFi(分散型金融)プラットフォームとウォレットサービスの監視強化を議論。11日(火曜日)にはEU加盟国の監視機関も協議し、OKXのWeb3プロキシが資金洗浄に関与している可能性があるとされた。
規制当局は、OKXが資金洗浄に関与していたか、あるいはシステムが悪用されたのかを調査中で、関与が認定されれば、仮想通貨業界全体の規制強化が進む可能性がある。
OKXは調査への協力を表明し、KYC(顧客確認)およびAML(マネーロンダリング対策)を強化すると発表。一方、規制当局は十分な対策かどうかを精査し、追加の取引データの提出を求めている。
Bybitハック後の資金流動、OKXの関与を疑う声
Bybitで発生したハッキング事件では、15億ドル(約2,222億円)近い資産が流出し、そのうち1億ドル(約148億円)以上がOKXを通じて資金洗浄された可能性があるとされている。
調査によると、一部資金がOKXを通じて分散され、Web3プラットフォームやDEX(分散型取引所)を経由して資金洗浄が行われた可能性が高い。OKXのウォレットサービスは5,300万のアドレスを持ち、100のブロックチェーンに接続可能で、この大規模なインフラが資金洗浄に利用されたとされる。Bybitのベン・チョウ(Ben Zhou)CEO(最高経営責任者)は、40,233ETH(約150億円)がOKXのWeb3プロキシを通じてロンダリングされ、一部が追跡不能となっていると主張。
また、盗まれた資金はテザー(Tether/USDT)やイーサリアム(Ethereum/ETH)に換金され、さらにミキシングサービスを通じて分散された形跡があるという。規制当局はOKXのウォレットアクティビティを分析し、大量の資金移動が不正取引の可能性があるとして追加調査を進めている。
OKXの対応とEUの規制強化の影響
OKXはバイビットの主張を“誤情報”と否定し、調査対象であることを否認したうえで、同社のマーケティング責任者は、資金洗浄疑惑を「とんでもない」と一蹴し、ウォレットサービスの合法性を強調した。
一方、オーストリアやクロアチアの規制当局は、OKXのWeb3サービスがEUのMiCA規制の対象であるべきと主張し、調査継続を求めている。OKXは1月にMiCAライセンスを取得したが、その適用範囲が再検証される可能性がある。EU規制当局は仮想通貨市場の監視を強化しており、資金の透明性を確保するための新たな法規制を検討中。専門家は、OKXが関与していた場合、厳しい罰則が科される可能性があると指摘し、仮想通貨取引所全体の規制が強化される可能性があると述べている。
BybitのCEOは、盗まれた資金の約3%が凍結されたが、20%がすでに消失していると発言。今後の調査結果によっては、仮想通貨市場全体に影響が広がる可能性がある。