米国がダークウェブ市場を標的に、仮想通貨と145のドメインを押収

暗い部屋でノートパソコンを操作するフード姿の人物と、背景に米国政府の紋章が描かれた南京錠のイラスト

BidenCashを一斉摘発、米国主導の国際共同作戦

DOJ(米国司法省)とFBI(連邦捜査局)は、違法なダークウェブ市場「バイデンキャッシュ(BidenCash)」に関連する145のドメインと仮想通貨を押収した。

措置はバージニア州東部地区連邦検事局が6月5日に発表し、裁判所の令状に基づいて実施された。バイデンキャッシュは2022年3月に開設されたマーケットプレイスで、ビットコイン(Bitcoin/BTC)やテザー(Tether/USDT)などを使って、盗まれたクレジットカード情報や個人識別情報(PII)などの取引を可能にしていた。登録ユーザーは11万7,000人を超え、1,500万件を超える情報が販売されたとされる。また、サイトは運営期間中に約1,700万ドル(約24.4億円)の収益を得ていた。

司法省は「このプラットフォームは、盗難データの売買プロセスを簡素化していた」と明言している。なお、サイト名に「バイデン」とあるが、元大統領とは一切関係がない。

国際協力で145のドメイン押収、表も裏も対象に

押収された145のドメインは、ダークウェブとクリアネットの両方にまたがっており、現在は法執行機関が管理するサーバーにリダイレクトされており、訪問者には押収通知が表示され、複数の国際機関のロゴが掲示されている。

今回の押収には、米シークレットサービスのフランクフルト駐在事務所やFBIアルバカーキ支局に加え、オランダ国家ハイテク犯罪ユニット、サーチライト・サイバー、シャドウ・サーバー財団などが参加した。マーケットプレイスでは、盗難クレジットカード情報に加え、不正ログイン用の認証情報なども取引されていた。2022年10月から2023年2月にかけては、330万件以上のカード情報が無料で公開され、新規ユーザー獲得を目的とした宣伝手段として使われたという。

また、バイデンキャッシュ関連の仮想通貨についても、裁判所の承認を得て押収手続きが行われている。金額は公開されていないが、複数のデジタル資産が対象となっている。

「匿名性はもはや盾にならない」当局が警鐘

バイデンキャッシュの摘発は、米国によるサイバー犯罪対策の一環であり、仮想通貨を活用した違法ネットワークへの取り締まりが強化されている証左でもある。

バージニア州東部地区のジェシカ・D・アバー連邦検事は、「サイバー犯罪者は、ダークウェブ上でも匿名ではないことを知っておくべきだ」と警告。先月には「オペレーション・ラプター」によって複数のダークウェブ麻薬取引プラットフォームが摘発され、10カ国で270人が逮捕。2億ドル(約287.8億円)相当の資産(仮想通貨を含む)が押収された。

今回の事例は、政府機関が匿名技術に潜むサイバー犯罪に対抗する能力を高めていることを示しており、仮想通貨とダークウェブの関係に対する監視が一層強まっている。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム