米国司法省が北朝鮮IT労働者の資金洗浄計画で仮想通貨を押収
米国司法省は、北朝鮮国籍者が長年にわたる陰謀に関連するマネーロンダリング(資金洗浄)を試み、不法に取得されたとされる資金を凍結・押収したと発表した。
Department Files Civil Forfeiture Complaint Against Over $7.74M Laundered on Behalf of the North Korean Government
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— U.S. Department of Justice (@TheJusticeDept) June 5, 2025
国務省、北朝鮮政府に代わって洗浄された774万ドル以上の資金に対する民事没収訴訟を起こす
当局は2025年6月5日(木曜日)、不法就労し、その賃金を北朝鮮政権に送金していたIT労働者が取得した仮想通貨をロンダリングしようとした北朝鮮国籍者から774万ドル(約11億円)を押収したと発表。司法省によると、不法に取得されたとされる資金は、北朝鮮貿易銀行の代表シム・ヒョンソプ(Sim Hyon Sop)氏と、北朝鮮国防省と関連のある企業チンヨンのCEO(最高経営責任者)キム・サンマン(Kim Sang Man)氏に関連していたという。北朝鮮国籍の2人は、2023年に財務省外国資産管理局の制裁対象者リストに追加された人物だ。
今回の仮想通貨押収は、北朝鮮工作員が企業に就職し、米国の制裁を逃れ、給与を北朝鮮政府に送金するのを特定し、阻止するための、長年にわたる一連の法執行活動における新たな動きとみられる。
世界有数の企業に潜む北朝鮮IT労働者
セキュリティ対策などを手掛けるMandiant(マンディアント)によると、北朝鮮の技術系労働者による不正アクセス計画は広範囲に広がり、拡大している。
北朝鮮国籍の労働者は、フォーチュン500企業の大半を含む世界有数の企業の従業員層に潜入している事が大きく関係している。FBI、国務省、財務省は、2022年5月に北朝鮮のIT労働者による脅威に関する勧告とガイダンスを初めて発行。それ以降、この計画の範囲と規模は大幅に拡大し、北朝鮮政権に多大な収入をもたらしており、FBI対諜報局のローマン・ロザフスキー(Roman Rozhavsky)副局長は声明の中で次のように述べている。
FBIの捜査により、北朝鮮のIT労働者が盗んだ米国市民の個人情報を利用して米国企業を欺き、雇用を得ようとする大規模なキャンペーンが明らかになった。
連邦検察は以前、シム容疑者を、北朝鮮の技術者と共謀して米国やその他の地域に拠点を置く企業で遠隔雇用を得ようとした容疑、および仮想通貨取引業者と共謀してこれらの雇用主から不正に得た収益を洗浄した容疑で起訴していた。
また、司法省は5日、キム容疑者が北朝鮮のIT労働者と北朝鮮貿易銀行の間を仲介し、シム容疑者への資金送金を容易にしたとして告発。キム容疑者が運営するチンヨンは、ロシア、ラオス、その他の国で活動する北朝鮮のIT労働者グループを雇用しており、司法省国家安全保障局長のスー・J・バイ(Sue J. Bai)氏は声明で次のように述べている。
北朝鮮は長年にわたり、世界的な遠隔IT契約や仮想通貨のエコシステムを利用して米国の制裁を回避し、兵器開発計画の資金を調達してきた。本日の没収措置は、こうした不正な収益スキームを阻止するという司法省の戦略的重点を反映しており、われわれは、北朝鮮とその不安定化政策を支える金融の生命線を断つために、利用可能なあらゆる法的手段を引き続き活用していきます。