IMFがエルサルバドルに融資拡大の見返りにBTC政策見直しを迫る
IMF(国際通貨基金)はエルサルバドル政府に対し、最大35億ドル規模の金融支援と引き換えに、国家によるビットコイン購入の中止を求めている。
この要請には、7月末までにChivoウォレットの一般公開を停止すること、政府所有のウォレットに保有されるビットコイン総量を一定に維持することなどが含まれる。IMFは「政府所有のウォレットに保有されるビットコインの総量が変わらないよう努力を継続する」と明言した。
今回の要請は、12月に締結された14億ドル規模・40カ月間のEFF(拡張基金取極)の一環であり、支払いはIMF理事会の承認を条件としている。
14億ドルの融資枠に暫定合意
IMFは2025年5月27日(火曜日)、14億ドルのEFFに基づき、エルサルバドルに対して1億2,000万ドルを支払うことに合意したと発表した。すでに職員レベルでの合意に達しており、今後は理事会の承認が必要となる。
EFFは2月26日に理事会によって承認され、初回の融資額は8,616万特別引出権(SDR)だった。さらに他の公的債権国からも、総額約35億ドルの追加的な金融支援が予定されている。
ブケレ政権のBTC戦略に影響か
エルサルバドルのナジブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領は、国家としての1日1BTC購入方針を継続する意向を示しており、2025年5月時点で保有量は6,190.18BTCに達している。
過去30日間で30BTCが追加され、評価額は約6億7,500万ドルに上っており、ブケレ氏はSNS上で「今もこれからも止まりません」と投稿し、ビットコイン政策を堅持する姿勢を示している。また、この保有により約3億8,600万ドルの未実現利益を計上しており、投資額に対して132%の利益率を誇る。
政策転換か、それとも抵抗か
IMFの要請に対し、ブケレ政権はこれまで通りの姿勢を崩していない。5月27日のIMF発表直後には、エルサルバドルのビットコインオフィスが再度のBTC購入を報告しており、国際的な合意と現実の乖離(かいり)が浮き彫りとなっている。
一部では、政府が非政府組織(NGO)を通じてビットコインを取得することで、IMFへの形式的な順守を保ちつつ、実質的な保有を続ける可能性も指摘されている。
今後の融資継続には、財政改革や銀行の流動性確保、公務員制度および年金制度の改善といったIMFの求める政策実施が求められる。ビットコインを巡る政策は、同国の財政再建と国際的な信頼の回復に直結する重要な争点となっている。