IMFがパキスタンのビットコインマイニング発電計画に警告
余剰電力を仮想通貨関連活動に割り当てる決定を受け、パキスタンのビットコイン準備金計画について、合法性と電力消費量を疑問視し、IMF(国際通貨基金)から厳しい批判を浴びている。
IMFは、パキスタンが仮想通貨マイニングとAI(人工知能)データセンターに2,000 MW(メガワット)の電力を割り当てる決定を批判し、懸念を表明。パキスタンのビットコイン統合計画は、エルサルバドルの仮想通貨推進と類似しており、懸念を引き起こしている。
そのような背景のなかで、同国とIMFは、予算に関する慎重な議論が続く中、協議を続行。IMFの懸念表明は、同国がラスベガスで開催されたビットコイン・ベガス2025カンファレンスで、政府主導として初のビットコイン準備金を発表した数日後に出されており、パキスタンのデジタル金融への優先順位の転換を示唆している。
パキスタンはデジタル資産産業支援に多大なエネルギー資源を投入か
同イベントで、シェバズ・シャリフ(Shehbaz Sharif)首相の仮想通貨顧問であるビラル・ビン・サキブ(Bilal bin Saqib)氏は、パキスタンがビットコインウォレットを導入し、デジタル資産産業を支援するために多大なエネルギー資源を投入したと指摘し、次のように述べている。
パキスタンの若者はオンラインとオンチェーンで活動しています。4,000万以上の仮想通貨ウォレットを持ち、平均年齢が23歳であるパキスタンは、今や過去ではなく未来で評価されるようになっています。
サキブ氏は、自律型マイナー、テクノロジー企業、ブロックチェーン企業など、複数の企業がパキスタンに投資する道が開かれるだろうと主張。しかし、IMFはこの発表に難色を示し、慢性的なエネルギー不足と財政的制約がある中での今回の動きの合法性と電力配分について財務大臣に説明要求。財務省関係者によると、今回の決定はIMFに相談することなく行われた動きであり、政府の対策が電力不足を悪化させる可能性があると懸念を表明。マイニングやデジタルビジネスで使用される電力がどのように管理されるかについて、パキスタン財務省に早急に説明を求めている。
現地メディアの報道によると、交渉に関与する当局者は、「この取り組みに関して、IMFからさらに厳しい交渉が迫られることが懸念され、経済チームは既に厳しい質問に直面しており、今回の動きは進行中の協議をさらに複雑にするだけだ」と述べているという。
現在パキスタン当局とオンライン協議を行っているIMF代表団は、ビットコインマイニングとAIデータセンターへの電力供給に関する政府の計画について協議するため、非公開会合を開く予定だ。
新たなデジタル資産機関の設立が進行中
今回の新たな政策決定は、デジタル資産をパキスタン経済に組み込むという、大規模な政府戦略の一環であり、この計画の重要な側面として、財務省の承認を得た「PDAA=パキスタンデジタル資産庁」の設立が挙げられている。
PDAAは、仮想通貨取引所、ウォレット、ステーブルコイン、DeFi(分散型金融)プラットフォームの規制、国の資産と債務のトークン化えお担当し、同国の仮想通貨政策をFATF(金融活動作業部会)が定める国際基準に準拠させていくという。イベント中にサキブ氏は、世界中の投資家に対し、パキスタンのデジタルシフトに加わり、成長を続ける同国のエコシステムへの投資を促し、次のように述べている。
PDAAは、世界中の投資家を保護し、デジタル経済におけるパキスタンの役割を正式に確立するための重要な一歩です。