コインベースが信頼回復へ向けたインフラ刷新
仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)が、ソラナ(Solana)ネットワークにおける取引遅延やボトルネックの問題を解消するため、大規模なインフラ刷新を実施した。
We’ve been hard at work scaling our @Solana infrastructure to be faster, more resilient, and more scalable.
We have upgraded our systems to:
→ Process transactions asynchronously, leading to a 5x improvement in block processing throughput.
→ Leverage bare metal machines for 4x… pic.twitter.com/WFINzCutNK— Coinbase Platform (@CoinbasePltfrm) April 17, 2025
Solanaでは、Solanaのインフラストラクチャーをより高速で、より回復力があり、よりスケーラブルなものにするために、懸命に取り組んできました。
システムをアップグレードした…
これにより、システム全体の処理能力や安定性が大きく向上し、ユーザー体験の改善が期待されている。今回の改良では、ネットワーク負荷の軽減と信頼性向上を軸に、技術面と運用面の両面で見直しが行われた。コインベースはこれを、ユーザーからの苦情に対する明確な対応策と位置づけ、今後も継続的な改善に取り組むとしている。
非同期処理やベアメタル活用で処理能力が大幅向上
まず、ブロック処理に非同期方式を導入したことで、ソラナネットワーク上のスループットは従来比で約5倍に拡大。これにより、取引遅延やタイムアウトの頻度が大きく減少した。
さらに、従来のクラウド環境から専用のベアメタルマシンへと移行。これにより、RPC(リモートプロシージャコール)の応答速度が約4倍に向上し、トランザクション処理の高速化と安定性が実現された。
同社はこれらの改善について、4月17日に公式Xアカウントで詳細を報告している。投稿では、非同期処理の導入によるスループット5倍の向上、ベアメタルマシンの活用によるレスポンス4倍の改善とともに、RPCエンドポイントのレイテンシを可視化したグラフも共有されており、刷新後のパフォーマンス向上が明確に示されている。
フェイルオーバー機能強化とバックエンド再構成
障害時の切り替え機構であるフェイルオーバーも強化され、システムの復旧性が向上。さらに、バックエンドにある複数のRPCエンドポイントを再構成することで、ピーク時の負荷分散が可能となり、処理の安定性も高まった。
2025年初頭には、ソラナ上での取引が正常に完了しない、または極端に遅延するといった報告が相次ぎ、ユーザーからの不満が高まっていた。なかには「ソラナは稼働しているのに、コインベースでは1時間以上待っても送金が完了しない」といった苦情も寄せられた。
Coinbaseのブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)CEO(最高経営責任者)も、当時の不具合について認めており、こうした背景が今回のインフラ刷新に直結している。コインベースは、ユーザーからのフィードバックを受けてインフラ改善に着手。加えて、流動性の最適化や運用体制の強化も進められ、全体として取引の迅速化と信頼性の回復が図られている。
なお、同社はこれまでにも技術的な問題に直面しており、2024年2月にはビットコイン価格が急騰した際に大規模な障害が発生。翌月にもソラナの価格高騰に伴うシステムトラブルが起きており、今回の改善策はこうした過去の課題にも対応したものとみられる。
コインベースは、ソラナネットワークの発展に対応したインフラ最適化を今後も継続していく方針を示しており、より強固でスケーラブルな取引基盤の提供を目指す。