香港警察が仮想通貨犯罪と戦うためにメタバースに参入

香港警察がメタバースに参入

香港警察のサイバーセキュリティ部門は5月27日(土曜日)、Web3およびメタバース関連の潜在的な危険事項を一般市民に教育するための新メタバースプラットフォーム「CyberDefender Metaverse(サイバーディフェンダー)」を立ち上げた事が発表された。

また、新プラットフォーム立ち上げを記念し、仮想通貨空間で初のイベント「Exploring the Metaverse(メタバースの探索)」を開催した。

香港警察による仮想通貨犯罪の取り締まり

発表イベント中、CSTCB(Cyber Security and Technology Crime Bureau:サイバーセキュリティ・テクノロジー犯罪局)のイップ・チュクユ(Ip Cheuk-yu)首席監察官は、Web3 がもたらす危険性についてコメント。同監察官は参加者に対し、詐欺、ハッキング、窃盗、性犯罪などの犯罪はすべてメタバースにおける脅威であると語った。このイベントでは、現代のサイバー犯罪者によるデジタル資産の使用と、仮想通貨犯罪の撲滅における進歩にも焦点を当てた。

立ち上げに伴うプレスリリースの中で、香港警察は2022年に同市で仮想資産関連の犯罪が2336件記録されたと発表。これらにより、被害者は17億ドル(約2,390億円)の損失を被っている事を明らかにした。さらに、2023年第1四半期には、そのような症例がすでに663件報告されている。憂慮すべきことに、わずか3カ月で報告された損失額は5億7,000万ドル(約801億円)に達し、2022年第1四半期と比較して75%増加している。公式発表の中で、これらの事件のほとんどが仮想資産投資に関係していると記載されており、次のように警告している。

犯罪者らは仮想資産に関する国民の知識不足を利用し、存在しない投資に誘導した。


香港規制当局がAML規則を更新

新メタバースプラットフォームの立ち上げに加え、HKSRC(Hong Kong Securities Regulatory Commission:香港証券監督管理委員会)は、最新のマネーロンダリング(資金洗浄)対策(AML)ガイドラインを発行した。

HKSRCのガイドでは、犯罪者がデジタル資産を利用してマネーロンダリングを行う方法について詳しく説明。さらに、金融機関が違法行為に巻き込まれないように保護するために講じる措置をさらに詳しく説明。新規則は、仮想通貨を扱うすべての企業に適用され、変更には、顧客確認(KYC)およびデューデリジェンスの要件の強化が含まれる。

(※1)デューデリジェンス(Due Diligence)とは…
投資に際、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査する事を指す。

更新されたガイドラインでは、8,000人民元(約159,000円)以上の仮想通貨取引を促進する機関は、送信者と受信者の両方に関する識別情報を収集する必要があるとのこと。

デジタル犯罪対策は国際化へ

更新されたガイドラインでは、8,000人民元(約159,000円)以上の仮想通貨取引を促進する機関は、送信者と受信者の両方に関する識別情報を収集する必要があるとのこと。

香港は強化されたKYC規則を施行することで、汚いお金が市内に流れるのを防ぐ取り組みを強化。企業は顧客の拠点がどこにあるかに関係なく、KYCチェックを実施しなければならない。そのため、身元を隠すために仮想通貨を使用する犯罪者にとり、香港はあまり魅力的な目的地ではなくなると予測されている。香港以外の他の管轄区域も、犯罪ネットワークによるデジタル資産の使用に対応するため、AMLフレームワークを適応させていおり、日本も仮想通貨送金に関するより厳格なAMLルールを発表したばかりである。

これらは、「トラベルルール」と呼ばれており、同ルールが導入されたことで、仮想通貨取引所は送信者の詳細が他当事者と確実に共有されるようにする必要がある。最終的に、犯罪撲滅の取り組みが効果的であるためには、犯罪ネットワークそのものと同じくらい国際的なものでなければならない。そのため、IRS(内国歳入庁)が金融犯罪における仮想通貨使用を捜査するため、サイバーエージェントを国際的に配備する予定であると報じられている。

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