WazirXがドバイへ移転か
インド最大の仮想通貨取引所WazirXは、仮想通貨市場への重課税を理由に、ドバイへ移転する事が分かった。
内部に詳しい情報筋の話として、共同創設者のニシェール・シェッティー(Nischal Shetty)氏とシッダールト・メノン(Siddharth Menon)氏が移転を決定したと現地メディアに語っており、チームの多くがリモートで作業しているため、WazirXは引き続きムンバイとバンガロールの都のオフィスを存続させるとのこと。同取引所による公式発表はないものの、実際に変化が起こっており、インド政府による30%の仮想通貨税法は、4月1日に施行されたことで、両共同創設者は迅速な決定を下したとみられている。税制は短期的にも会社に大きな損失をもたらす可能性があり、現地メディアもこの決定に対し、理解をみせている。
重い税制により、同国内の取引量は大幅に減少しており、すべての取引所に損害を与えているのが現状だ。また、税率に加えて政府は、損失を利益と相殺することはできないと厳しい姿勢を見せており、仮想通貨マイニングについても課税対象となっている。
ドバイ移転の理由
シェッティー氏は、インド国内の仮想通貨分野で著名な声を上げてきた人物であり、同氏は過去に法律とそれらがインドの生態系にどのように影響するかについて語っている。
ドバイはインドと比べ、仮想通貨に優しい都市であり、2022年9月からビットコイン(Bitcoin/BTC)とイーサリアム(Ethereum/ETH)による授業料の支払い受け入れる学校もすでに存在している。さらに、NEXTMONEYの3月15日付特集記事「仮想通貨取引所BinanceとFTXがドバイでライセンスを獲得」でも報じているように、仮想通貨デリバティブ取引所FTXとBinanceの両取引所がドバイでの運営の承認を受けている。
より多くのインドの仮想通貨取引所がWazirXをフォローする可能性
仮想通貨の利益に対するインド政府による30%という重い税金と源泉徴収された1%の税金は、インドの仮想通貨コミュニティから強い批判を集めている。
“It is not illegal to buy/sell crypto assets in India but we have put taxation treating it like winnings from horse races..” -T.V Somanathan (India Fin Secretary).
It has more to do with their view than just tax. #reducecryptotax #faircryptotax Day-53 #IndiaWantsCrypto @Unocoin— Sathvik Vishwanath (Unocoin) (@sathvikv) March 26, 2022
インドで仮想通貨を売買することは違法ではありませんが、競馬の賞金のように扱う課税を課しています。それは単なる税金以上に彼らの見解と関係があります。
仮想通貨コミュニティは規制を歓迎する一方で、仮想通貨がギャンブル同様に扱われ、重い課税がかけられているという事実を非難。その理由として、多くの人は、急速に成長していたインドの仮想通貨市場からイノベーションと資金調達を遠ざけると信じていることが考えられる。
Statement by NPCI as on 7th April 2022. With reference to some recent media reports around the purchase of Cryptocurrencies using UPI, National Payments Corporation of India would like to clarify that we are not aware of any crypto exchange using UPI. Please see attached document pic.twitter.com/lGTcaSLKeC
— NPCI (@NPCI_NPCI) April 7, 2022
WazirXが国を去るように見えることから、他の仮想通貨取引所も同取引所に続くことが考えられる。インドの仮想通貨会社は、新法の結果として、インドでビジネスを行うことは経済的に現実的ではないと述べている。インドのほか、アジアに大きな関心を示す米国の仮想通貨取引所Coinbaseも、複数の問題に直面している。「Coinbaseがインドで仮想通貨取引デビュー」で報じたように、インド国内で1,000人の新規従業員を雇用すると発表した直後、国内の決済プロバイダーはプラットフォームへのサービスの提供を停止し、ユーザーにP2Pへの移行を余儀なくされており、今後の事業展開にやや不安要素が見え隠れしている。