ドバイ金融規制当局、セキュリティトークン規制を提案

DFSAが新しいポリシーフレームワークを提案

アラブ首長国連邦のドバイDFSA(ドバイ金融サービス局)の規制当局は、急速に成長しているセキュリティトークンセクターを対象とした新しいポリシーフレームワークを提案した事が分かった。

DFSAは、3月29日(月曜日)、「セキュリティトークンの規制」と題されたコンサルテーションペーパーNo. 138を発行。今後30日間の一般参加を呼びかけた。

今回発行されたコンサルテーションペーパーには、セキュリティトークンの一般への提供と取引施設への入場に関連する規定が含まれていおり、実装されると、企業は見込み顧客からのセキュリティトークンでの直接支払いを処理できるようになる。改めてコンサルテーションペーパーが発行された背景には、市の金融サービス業界を変革する可能性のあるセキュリティトークンの成長を促進することを目的としているとみられ、DFSAのブライアン・スティルウォルト(Bryan Stirewalt)最高経営責任者は、次のように述べている。

金融サービスを実施または提供することにより、この市場に関与することを意図している企業のため、私たちの提案は消費者を保護し、市場の完全性に取り組み、ML / FT(マネーロンダリング/テロ資金供与)やその他のリスクを軽減しながら、イノベーションを促進します。私たちは、DIFC(※1)に取り組みながら、この急速に発展している分野で慎重な措置を講じた他の規制当局の経験を引き出しました。これらの提案に対するパブリックコメントをお待ちしております。

(※1)DIFC(Dubai International Financial Centre =ドバイ・インターナショナル・ファイナンシャル・センター)とは、アラブ首長国連邦のドバイの臨海部にある金融自由地域で、MENA(中東と北アフリカを合わせた市場)のための金融センターである

コンサルテーションペーパーの内容とは

米国SECコミッショナーのヘスターパースは、昨年3月25日のセキュリティトークンサミットに参加。ディスカッション中に、セキュリティトークン、デジタル証券、規制ガイドラインに関するいくつかの質問に回答し、将来デジタル化される従来の株式についての考えを共有している。

このコンサルテーションペーパーで提案されている変更の一部には、セキュリティトークンを取引する施設が、小売クライアントを含むメンバーに直接アクセスできるようにすることが含まれている。また、目論見書での開示の強化、保管プロバイダーの要件の強化、DLT (※2)の使用に関連するリスクに対処するためのシステムと制御の要件の拡大も提供している。規制当局は、これらの提案が投資家保護のニーズと不正行為のリスクに取り組むと信じているほか、特にマネーロンダリングやテロ資金供与の脅威を阻止することについて、市場の完全性と金融の安定性にも取り組む構えだ。
(※2)DLT(Distributed Ledger Techonology)とは、分散型台帳技術を指す。

なおDFSAは、今年後半に、ユーティリティトークンや交換トークンを含む他のセキュリティトークンに関する提案を発行することを約束している。

ドバイは、中東におけるデジタル通貨とブロックチェーンテクノロジーのペースを設定し続けている。昨年、DIFCは最初のKYC(顧客確認情報)ブロックチェーンデータ共有プラットフォームを開拓し、市内の企業が最短時間でデジタルアカウントを開設できるよう支援することを目指している。また、今年1月には当NEXTMONEYの特集記事「DFSAドバイ規制当局、仮想通貨規制フレームワークを作成へ」で報じたように、仮想通貨に大きく関わる法整備を行うと発表しており、2022年までにデジタル資産の規制制度を構築する計画を発表している。

DFSAドバイ規制当局、仮想通貨規制フレームワークを作成へ

2021.01.20