日本企業30社が主導で「民間デジタル通貨」を構想=2021年春にも実証実験

日本企業30社が主導で「民間デジタル通貨」を構想=2021年春にも実証実験

未だキャッシュレス化が進まない日本において、デジタル化を促進することを目的に、日本の主要企業30社以上が共通の民間デジタル通貨の発行に向けた実証実験を2021年春にも開始することが分かった。ロイターが報じた。

今回の民間デジタル通貨については、日本銀行が先月発表したデジタル円の発行および実証実験に続くものであり、国内では世界の金融技術な進歩に追い付くべく、日本がデジタル通貨の促進が必要だと考える意識が高まっている。

日本銀行、中央銀行デジタル通貨への取り組み方針を発表

2020.10.09

日経新聞によると、デジタル通貨の実装実験に参加するのは、日本の3つのメガバンク(三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャル・グループ)やセブン銀行、NTTグループやKDDIなどの通信会社をはじめとする証券会社、電力会社、小売業者などの30社で構成されている。また今回新たに野村ホールディングス、東京海上日動火災保険、大同生命保険、関西電力などが加わっており、交通系でもJR東日本が参加しているなど、大手企業が名を連ねている。

また、インターネットイニシアティブ参加の仮想通貨取引所デーカレットを中心が中心として今年6月に立ち上げた協議会を母体として、「デジタル通貨フォーラム」を設立するようであり、同グループの議長を務める元日銀幹部の山岡弘美氏はオンライン・ブリーフィングで、次ように述べている。

日本には多くのデジタル・プラットフォームがあるが、現金決済に勝てるほどの規模のものはない。
もう一つのサイロ型のプラットフォームを作りたいわけではありません。我々がやりたいのは、様々なプラットフォームを相互に互換性のあるものにするための枠組みを作ることだ。

日本は世界がキャッシュレス化へと移行を始める中、世界でも有数の現金主義大国として知られており、決済に占めるキャッシュレスの割合は20%に過ぎず、米国の45%、中国の70%と比較しても大きく割合が下回っていることが分かる。

デジタル通貨の構想

デジタル通貨の構想では、発行に関しては銀行を通じて実行され、個人や企業を保有する現預金を裏付け資金として、銀行口座と同様の役割を果たす電子ウォレットにデジタル通貨を発行するようだ。また送金や決済でも使用可能にし、スマホ決済や電子マネーとの交換も容易にする方針であるという。

さらには、企業間での大口決済や取引でも使用できるように構想しており、決済基盤にはビットコインの基盤技術でもあるブロックチェーンを活用するようだ。そのため、個人や企業などの送金や決済情報を改ざんされる可能性は非常に低くなる。

参画企業による小売りや製造業、物流、電力といった分野別の実証実験については来年の2021年春から開始される予定だが、実用化について2022年を予定している・。しかし現時点での具体的な発行計画はなく、今後の発表に期待を寄せて待つしかなさそうだ。