JPモルガンが250万ドルを支払い、暗号資産の訴訟を解決
米国最大規模の銀行であるJPモルガン・チェースは、暗号資産購入のために手数料や金利を過剰請求されたとする集団訴訟を解決するため、250万ドルを支払うことに合意した。本訴訟は2年前に、マンハッタンの連邦裁判所に提出された訴訟が発端となっている。顧客にクレジットカードでの暗号資産購入を禁止し、キャッシング(現金前貸し)による前払い式の購入手段を要求したという。
原告の一人であるブレイディ・タッカー氏は、5日間の取引で金利の30%にあたる143ドルの手数料と20ドルの金利支払いを求められたとし、キャッシング手数料の返金を求めたが拒否されたと主張している。一方JPモルガンは、顧客がデビットカードを使って金利料金の発生を避けることができたと指摘し、暗号資産購入における顧客の主張を退けていた。
訴訟によると、このようなトラブルはJPモルガンを含む複数の銀行がクレジットカード決済を禁止したことから増加したようだ。2018年当時、暗号資産の価格が短期間で急激に変動していたことから、シティーグループやロイズ・バンキング・グループなど大手銀行はクレジットカードでの支払いを禁止し始めていた。クレジットカードでの暗号資産購入を許可すると、購入者が借金の返済ができなくなる恐れがあり、その結果銀行に多大な損害をもたらす可能性があるからだ。
クレジットカード払いを禁止した結果、銀行は仮想通貨購入をキャッシングとして処理し始め、手数料が高額に膨らむようになった。原告はこの時点で異議を唱えていたが、JPモルガンの顧客サービスは原告の意見を拒否している。
JPモルガンが暗号資産取引所を顧客に迎える
クレジットカードでの暗号資産購入禁止の例を見てわかるように、銀行は暗号資産を取り扱うリスクが高いと評価している。しかし一部の暗号資産やその取引所が認可されてきたことで、JPモルガンは、5月にコインベースとジェミニ2つの暗号資産取引所を契約し、暗号資産取引所としては初となる顧客を抱えた。
JPモルガンは、独自のステーブルコイン「JPMコイン」を開発し、機関投資家間での取引を容易にする決済サービスの構築にも取り組んでいる。暗号資産取引所が大手の銀行に迎えられたことで、他の銀行も追随する動きが出てくるかもしれない。