匿名通貨ZcashとDashの追跡可能に=Chainalysis
ブロックチェーンの分析や不正取引を追跡するChainalysis(チェイナリシス)は、「匿名コイン」と呼ばれるZcashやDashのサポートを6月8日から開始すると発表した。
ビットコインは取引で取引内容やアドレス、残高などが記録され公開されてしまう。匿名コインは上記のプロセスを困難にすることを目的に、ビットコインなどのブロックチェーン上にプライバシー機能を追加することで匿名性を高めている。これに対し新たにChainalysisがサポートするZcashやDashは、プライバシーを強化する機能がプロトコルにエンコードされていることから全く新しいブロックチェーン上で動作する。
Dashは2014年にビットコインのフォークコインとして登場したが、「PrivateSend」という機能を兼ね備えている。この機能は、資金の出所を不明瞭にするミキサーのような方法が採用されているが、オプション機能のため、デフォルトの取引では利用されない。Zcashは暗号技術を強化したプライバシーコインとして2016年にローンチされたが、シールドと呼ばれるプロセスを通してブロックチェーン上の活動を暗号化するオプションを提供している。
多くのユーザーはプライバーシーを強化する機能を利用していない
Chainalysisによると、多くのユーザーは匿名性を高める機能を利用しておらず、Dashの取引の僅か0.7%しかPrivateSendを利用していなかったという。またZcashにおいても同様に0.9%のみが暗号化した取引をしていた。このように多くのユーザーが匿名機能を利用していないことからも、追跡することは可能だと主張している。
これに対しDashのCEOであるRyan Taylor氏は、「DashとChainalysisが目指していることは、最終的にどちらも暗号資産の安全な利用を促進することになるため、Dashプラットフォームへの実装を選択してくれたことを嬉しく思う」と語っている。一方Zcashはコメントを断ったようだ。いずれにせよ多くのユーザーが暗号資産取引の匿名性について関心が無いのかもしれない。