中国人民銀行、ブロックチェーン投資詐欺に警告
中国人民銀行はこれから投資を始めようとしている新規投資家向けに、暗号資産やブロックチェーンを使った違法な資金調達スキームを避けるように促す警告を発表した。
中国人民銀行上海事務所は、規制のない投資スキームのリスクを投資家に警告するため、金融詐欺の手口と暗号資産の共通点を詳細に明記した「チートシート」を発表した。チートシートは16の質問から構成されており、投資家が資金を投入する前に、暗号資産の投資スキームが詐欺であるか見定めるために役立つという。また暗号資産やブロックチェーンに関する投資案件だけでなく、証券や通常の金融商品にも目を向けられて作成されている。
将来価値が上がることを前提に、投資をしてくれた方に対して独自の暗号資産を提供するICOという資金調達手段があるが、中国はこれを2017年から禁止している状況だ。今回のチートシートに記載されてある違法な資金調達活動にICOについて言及している項目はないが、”財産、不動産、その他の資産を均等に分割し、その株式の処分権を売却して違法に資金を調達する”というものが記載されてある。
これ以外にも、植栽、プロジェクト開発、環境保護投資などの名目による違法な資金調達や、株式・債権・宝くじなどの偽造、会員権などの違法な応募などさまざまな詐欺の項目が紹介されている。
一般の人が投資コンセプトを判断するのは難しい
また「チートシート」では詐欺師が違法な資金調達を達成するために、合法であるかのような手続きを踏み、大衆の不安を払拭するような大規模な投資プロジェクトを作成すると指摘している。
詐欺師はフランチャイズや代理店、独占などの用語を使用し大衆を混乱させ一般の投資家を欺き、あたかもハイリターンと思わせるような取り組みを当て込むことで、「金持ちになれるかも」という錯覚をいだかせてくるという。
今回発表された文章は、投資家が暗号資産詐欺に巻き込まれないように警告するための試みであるが、現在開発が進行しているデジタル人民元(CBDC)への制限的なアプローチの一環でもあるようだ。中国人民銀行が発行されるデジタル通貨は、現在トライアルが行われており、中国国内の大手小売店などがこの決済スキームに参加すると考えられている。