ディズニーがメタバース関連従業員7,000人を削減へ
エンターテインメントの大手ディズニー(The Walt Disney Company)は、事業を合理化してコストを抑えるため、メタバース部門全体を閉鎖し、VR(仮想現実)プロジェクトを担当する50人の強力なチームを含む7,000人の従業員を削減た事が分かった。
ディズニーのメタバースへの進出は突然終了。大手メディアウォール・ストリート・ジャーナルの報道で事情に詳しい情報筋が明らかにしたように、同社は野心的なVRプロジェクトを担当する50人の強力なチームを含めた7,000人が職を失った。しかし、大規模な人員削減にもかかわらず、チームリーダーであるマイク・ホワイト(Mike White)氏はディズニーにとどまると言われている。
ディズニーは大幅なコスト削減を実施
最新報道にて引用された情報源は、ディズニーが米国大手のコンサルティング会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)と相談し、コスト削減の分野を特定した後、コストとスタッフ数を削減する決定を下したことを示唆している。
ディズニーのボブ・チャペック(Bob Chapek)現CEO(最高経営責任者)およびロバート・アイガー(Robert Iger)前CEOの両者が以前にメタバースの可能性について強気な姿勢を表明していたことを考えると、この動きは驚きを持って受け止められている。しかし、実際には、ストリーミング部門における不利な経済状況と激しい競争が、決定の背後にある主要因と報じられている。
ディズニーは2022年半ばにメタバース戦略の開発を開始。同年9月、NFT(非代替性トークン)とDeFi(分散型金融)を専門とする社内の法律専門家の求人を掲載することで、その取り組みを強化していた。
メタバースからより直接的な成長と収益の可能性を秘めた他分野へ
メタバースはかつてテクノロジーの世界の寵児(ちょうじ、※時流に乗り持てはやされる)であり、インターネットに続く次の大物として歓迎されていた。
Facebook、Microsoft、Roblox などの大手テクノロジー企業はこの分野に多額の投資をし、ベンチャーキャピタルは仮想世界の構築に特化したスタートアップに注ぎ込んでいる。メタバース戦略を放棄し、メタバースチームを削減するというディズニーの動きは、業界のより広範な変化を反映している。多くの企業は現在、NFT、DeFi、Web3などの他分野を優先している。
メタバースからのこのシフトは、多くの要因に起因する可能性があり、1つには、メタバースは依然として比較的テストされておらず、リスクの高い投資である。仮想世界の構築は複雑で費用のかかる作業であり、これらのデジタル空間で時間とお金を費やすことをいとわない十分な数の視聴者が存在するかどうかはまだ明らかではない。さらに、メタバースは、仮想通貨やテクノロジー分野の他の分野との競争の激化に直面。たとえば、NFTの人気はこの1年間で爆発的に高まり、売り上げは数十億ドルに達した。一方、DeFi は金融の世界で強力な勢力として台頭。分散型で、多くの場合、従来の金融商品に代わるよりアクセスしやすい代替手段を提供している。その結果、ディズニーのような企業は、メタバースから離れ、より直接的な成長と収益の可能性を秘めた他の分野に焦点を移しているのが実情だ。