大手石油子会社、ブロックチェーン活用の仮想発電所を構築
石油関連大手企業として有名なロイヤル・ダッチ・シェルの子会社ゾンネン・グループは3月12日、エネルギー・ウェブ財団(EWF)と連携し、同財団のブロックチェーンを活用してドイツにバーチャルパワープラント(VPP)を構築することを発表した。
EMWとは、2017年に設立されたエネルギー事業に携わる企業を中心に組まれたコンソーシアムであり、近年では実運用に向けた同財団の技術基盤である「EW Chain」を公開している。「EW Chain」はイーサリアムベースに設計されており、パブリック型のオープンソースな仕様になっている。イーサリアムと異なる点はコンセンサスアルゴリズムがPoW、PoSではなく、PoA(Proof of Authority)を採用している点だ。PoAは不特定多数のノードがネットワークに参画できる仕組みではなく、事前に身元承認や、信用できる組織であることが証明がされない限り、バリデータノード(取引承認ノード)としてネットワークに参加することは出来ない。現在バリデータノードとしてトランザクションの監視をしている企業は下記の企業が該当する。
- engie(エンジ―) フランス
- Shell(Royal Dutch Shell) 英国
ドイツ国内のVPP促進の背景には年々増加する風力発電のプラントが増加したことによる、電力会社の系統に流しきれない余剰電力を有効活用するところにある。
地域で循環する電力供給網が整備されれば、災害時などの電力供給が滞りなく供給されるため、大手電力会社に頼らない、地方の電力地産地消モデルが確立されるだろう。ブロックチェーンには再エネの発電データや消費データが細かく蓄積され、電力需給バランスを均等にマッチングさせる部分に活用することで、これまでより真正性の高い電力情報のトラッキングが可能だ。
また、J-クレジットのようなCO2排出削減に関するクレジット流通が活性化されることにも期待されており、昨今の世界的な脱炭酸化の流れから、環境ビジネス全体に与えるブロックチェーン技術の影響は年々増大することだろう。