中国のビットコイン取り締まりが、5つの仮想通貨取引所を追い出す

中国のビットコイン取り締まりが、5つの仮想通貨取引所を追い出す

中国では仮想通貨取引所の取り締まりが厳しさを増している。ブルームバーグが報じた内容は、今月だけでも中国に拠点を構えている5つの取引所が閉鎖した。中国では先月、習近平国家主席が国を挙げてブロックチェーン技術の開発および普及に取り組んでいく姿勢を示した。この発言によって、仮想通貨市場にもポジティブな影響が出ており、中国が仮想通貨を後押しすると見込んだ投資家心理によってか、ビットコイン価格も3,000ドル近い大幅な上昇を記録した。

一方、中国政府の対応は投資家心理とは対照的だ。今月22日には、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行が、仮想通貨取引所の取り締まり強化を発表した。また、中国人民銀行やその他の規制当局、政府機関も投資家へ詐欺にあたる違法な仮想通貨へ投資をしないよう警鐘を鳴らした。

中国人民銀行、仮想通貨の「取り締り強化」を発表

2019.11.25

取引所の閉鎖からWeiboアカウントの停止まで規制の影響強く

この影響がはっきりと出たのが、中国に拠点を構えている取引所BISSだ。BISSは閉鎖の発表を行いほどなくしてから、北京警察から捜査を受けており、規制に準拠していなかったとして関係者の中から10人の逮捕者を出している。また、同じく中国に拠点を構えているBitsodaとAkdexも、サービスの終了を発表した。

中国版ツイッターのWeiboでも、この影響が見て取れる。Weiboにアカウントを持っていたバイナンスとトロンのアカウントが停止した。バイナンスは中国発の世界的な取引所であり、トロンはDappsプラットフォームとして同じく中国から誕生した仮想通貨だ。トロンの時価総額は約1,100億円で、仮想通貨全体の中でも11位にランクインしている。CEOであるジャスティン・サン氏は、世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏とのランチ権をオークションで競り落としたことでも過去に話題を集めた。

中国政府が仮想通貨を一掃する

ここ最近で中国が見せるこうした取り締まりの強化は、過去を見ても稀にみる厳しさだ。2017年9月の仮想通貨取引・ICO禁止から始まった規制の流れが最高潮に達している。このタイミングで、中国政府は仮想通貨を一掃するつもりだろう。

Chainalysisのデータによれば、上位50の仮想通貨取引所のうち、20がアジア太平洋地域を拠点としている。また、これらの取引所は、今年上半期の仮想通貨取引における約40%を占めている。加えて、そのほとんどが、中国に拠点を構えていることもわかっている。

中国中部の長沙在住のエンジニアであるアーロン・フー氏は、この規制の流れを受けてバイナンスやヒュオビに置いていた仮想通貨を、すべて自分のウォレットに移動したと述べている。規制が強まったことを感じた時に、彼が真っ先に思いついたのは、「資産をどのように安全に保管するか」だったとのこと。