フランス中央銀行副総裁、「ユーロ圏決済に分散台帳技術(DLT)を使用すべき」

フランス中央銀行副総裁、「ユーロ圏決済に分散台帳技術(DLT)を使用すべき」

フランス銀行の第一副総裁であるDenis Beau氏は、欧州中央銀行(以下:ECB)がユーロ圏の決済において分散型台帳技術を導入すべきだと見解を示した。先週木曜日にパリで開催された、欧州金融市場協会(AFME)のスピーチでの発言となる。フランス銀行は仏中央銀行にあたる。Beau氏は従来の支払い方法について、「エンドユーザーにとってコストが高く利便性にも乏しい他、セキュリティ面も欠けている」と指摘。特に新興国ではこの傾向が強まるとし、分散型台帳技術の導入すべきと見解を示した。

Beau氏によれば、フランス銀行ではすでにブロックチェーンのシステム「MADRE」の試験運用を行っているとのこと。これは、SEPA(欧州単一経済圏)の決済システムにおけるクレジット識別の保存を目的とした、実験的な取り組みとなる。MADRE自体は実際の決済システムにはまだ導入されておらず、プロトタイプの状態となっている。

Beau氏のスピーチの主な内容は、「新しい技術の受け入れを行う」という方向性のものだった。Beau氏はECBが進歩的な技術を取り入れることを望んでおり、それによって生まれる革新こそが、長期的な利益をもたらすと述べている。

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中央銀行が分散型台帳技術を導入すべき理由

Beau氏のスピーチには、資産のトークン化などもピックアップされている。現在金融市場で出回っている商品や資産の中で、トークン化できると考えられているものは意外と多い。実際に、従来の金融商品や資産をトークン化しようという動きは、イーサリアムベースのプロジェクトなどで多く見られる。

たとえば、不動産などもトークン化できる資産として該当する。これによって、所有権の移転なども容易となり、資産自体の流動性も高まる。ブロックチェーンの記録は改ざんが難しいため、資産の所有権の安全な管理方法ともいえるだろう。スマートコントラクトを使えば、売買契約まで完結することも可能だ。

一方で、Beau氏はこれらのシステムの実装を、民間企業が行うことに対しては否定的だ。いずれの企業がイニシアティブを持ったとしても、秩序が保たれないことを理由として挙げている。Beau氏は中央銀行の分散型台帳技術を導入することで、秩序のあるシステムを構築することができると見解を示した。Beau氏の言う通り、単なる決済の優位性に止まらない可能性が、ブロックチェーンベースの技術には期待できる。

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