伊藤忠がブロックチェーンを活用し、コーヒーのトレーサビリティ管理を推進
日本の5大商社の一角である伊藤忠商事は今月の19日にコーヒー豆の流通トレーサビリティを確立するためにスイスのFarmer Connect社が開発するトレーサビリティプラットフォーム「FARMER CONNECT」に参画した。
同社のシステムはIBMの「Hyper ledger Fabric」を基盤とした「Food Trust」をベースに開発されており、主要パートナーには下記のような企業が名を連ねている。
- コロンビアコーヒー生産者連合(FNC)
- JMスマッカー
- RGCコーヒー
- ベイヤーズコーヒー
- 伊藤忠商事(アジアでは唯一参加している企業となる)
プラットフォームの詳細
同プラットフォームを利用する企業は、専用のアプリ「Thank My Farmer」を通してコーヒー豆の収穫地や収穫時期、焙煎、ブランドの管理工程など様々な情報を消費者からトレース出来る仕組みになっている。また、消費者から生産者に対して、トークンを送る事も可能で、独自のトークンエコノミーの経済圏を構築し、新しい生産者と消費者の関係性を創ることにも繋がるだろう。
一般への公開は2020年中を予定しており、今後はコーヒーだけではなく、お茶やワインなどに転用し、ユースケースを増やしていく予定であるようだ。
これまでの生産管理体制の問題点
- 生産者〜消費者に届くまでの情報が分断されており、情報の信頼性が少ない
- 製品化するまでの加工工程の情報が工程終了後に記録されるため、リアルタイムの加工工程の情報が分からない
- 消費者が製品の情報をトレースして確認することができない
- 製品に不備があった場合、個別IDで管理していないので、ロット単位での廃棄処分をする必要がある。
ブロックチェーンでサプライチェーン全体の流れを管理すれば従来の生産管理の問題点を解決することが可能になる。
また、伊藤忠商事は天然ゴムのトレーサビリティをブロックチェーンで管理するプロジェクトも発表しており、ブロックチェーンの活用には積極的に動いている。
これまで、大量生産、大量消費の時代では、企業は消費者に対して中身の見えない商品を販売するだけで良かったが、世界的な流れとして、サスティナブルやエシカルなどの方向に時代が流れている昨今において、企業が求められる社会的貢献要素や役割など、モラルに逸脱しない企業の在り方が経営の要素としと重要とされつつある。これらの社会的要素を満たすソリューションとして、注目を集められているのが、ブロックチェーンであり、国内企業の参加が今後更に増えてくることに期待したい。