麻生副総理の仮想通貨に対する見解
金融庁の公式HPに先月行われた閣議後記者会見の概要が公開されている。
この概要には、麻生副総理の仮想通貨に関する見解も含まれており、非常に興味深い内容となっている。
麻生副総理は「ブロックチェーンはすばらしい技術」と評価する一方で、「定着するにはかなりの時間を要する」といった見解を示しており、「今はまだ途中の段階である」という認識を示しているようだ。
さらに、麻生副総理からは、仮想通貨交換業者の登録制度について、過去に発生した仮想通貨の流出事件にも触れながら、悪用する者の存在を考慮し、利用者に被害が及ぶ恐れがあることから、審査を通して登録要件を満たすことが大切といった見解も示されている。これは、仮想通貨交換業者としてディーカレットを含む2社の登録が認められた件についての記者からの質問に応えたものだ。
また、記者会見の中で、記者が「仮想通貨」という言葉を使用したことについて、「仮想通貨という言葉はやめたら」と話す場面もあったようだ。
政府は、仮想通貨のルールの明確化や制度の整備にむけて、資金決済法及び金融商品取引法の改正案を閣議決定したばかりであり、この中には「仮想通貨」から「暗号資産」に呼称を変更するという内容が含まれている。
「仮想通貨」の呼称は紆余曲折
そもそも、仮想通貨が世に広まり始めたころは様々な呼称で呼ばれていた。「仮想通貨」や「暗号通貨」といった呼称が一般的に使われていた。
※英名では ”暗号” を意味するCryptoと、”通貨” を意味するCurrencyをつなげ、Cryptocurrencyという呼称が使われるのが一般的。
そんな中、2017年4月1日に施行された資金決済法の中で「仮想通貨」という表現が用いられ、事実上、日本国内における呼称は「仮想通貨」が用いられることとなったという経緯がある。
「仮想通貨」の技術的な仕組みは、「暗号技術を活用した帳簿」のようなものである。コインをイメージしてしまう ”通貨” という表現は適していないようにも思える。
このような技術的背景を考えれば、「仮想通貨」というよりも、「暗号資産」という呼称の方が、的確に表現していると言えるのかもしれない。
また、先月閣議決定された資金決済法及び金融商品取引法の改正案の中には、”暗号資産” の流出を防止するために、顧客の ”暗号資産” はコールドウォレット等で管理することを義務付けることや、仮想通貨交換業者の誇大広告等を禁止する内容が盛り込まれている。
国として、法や規制枠組みを整備していくことで、いずれは現在の ”通貨” と同じ役割を果たす存在として「暗号資産」が社会に普及する日に期待したい。