米Bitcoinトレーダーが受けたマネーロンダリングに関する罰則
金融犯罪執行機関連絡室(FinCEN=Financial Crimes Enforcement Network)が、マネーロンダリング規制違反として、Bitcoinトレーダーに罰則を与えたことが18日に公表された。仮想通貨トレーダーに同罰則が与えられるのは初となるようだ。
米国では、金融機関は「疑わしい取引報告(SAR)」をFinCENに提出する義務がある。
疑わしい取引報告には、「内部者が関与している不正取引」や「犯人が特定可能な総額5000ドル以上の取引」、「犯人が特定不可な場合でも、総額25000ドル以上の疑わしい取引」などが該当する。
また、米国の銀行秘密法では、現金取引報告(Currency Transaction Report:CTR)の提出を金融機関に義務付けている。これは、マネーロンダリング等の不正取引の発見・防止のために10000 ドルを超える現金取引を行った場合に課せられる報告義務である。
今回罰則が与えられたBitcoinトレーダーは、ビットコイン売買に関する事業を行っていたようで、多数の不審な取引を処理したにも関わらず、SARの報告を怠ったと公表されている。また、10000ドル以上の現金取引を行ったが、CTRの提出を怠ったことも指摘されている。その回数は200回を超えるとされ、その内150件はCTRの提出を行う義務があったことも指摘されている。
罰則については、「35000ドルの罰金」等が課せられたようだ。
「仮想通貨」と「マネーロンダリング」
仮想通貨とマネーロンダリングについては、かねてから国際的に問題意識が持たれている。
日本では、仮想通貨交換業者の登録制度を採用し、金融庁は、仮想通貨を媒介としたマネーロンダリングに対して、その体制強化を各仮想通貨取引所に求めている。
中央管理者の存在しない ”仮想通貨” は、技術的に入り組んだ部分もあり、不正な取引に対して、現在の規制当局の追跡が追い付かない場合も多い。ホワイトハッカーと呼ばれる有志団体によるハッキングの追跡も行われるが、仮想通貨を媒介とした不正犯の特定は困難を極めるという実情もあるようだ。
日本国内で、2018年に確認された「不正な疑惑のある取引」は40万件以上と言われており、過去最多を記録したことも話題となった。ますます「仮想通貨を媒介としたマネーロンダリング」への危機感は高まっていると言えるだろう。