SBI、米デジタル銀行Ereborに1億ドル投資 ブロックチェーン決済やステーブルコイン基盤を構築

Erebor Bankの概要と独自のブロックチェーン決済基盤

日本の総合金融大手SBIホールディングスは、米国子会社のSBI Holdings USA, Inc.を通じて、米国のデジタル金融機関Erebor Bank(エレボー・バンク)へ1億ドル(約158億円)を出資することを発表した。

今回の出資は、急速に拡大するステーブルコインや分散型技術を活用した決済市場において、SBIがグローバルな基盤を強固にする重要な施策と位置付けられている。

Erebor Bankは、オハイオ州コロンバスを拠点とする米国の連邦認可銀行(ナショナル・バンク)だ。VR企業Oculusの創業者であり、防衛テック企業Anduril Industriesの共同創業者としても知られるパーマー・ラッキー(Palmer Luckey)氏らが関与し、2025年に設立された。オーウェン・ラパポート(Owen Rapaport)CEO(最高経営責任者)や会長のジェイコブ・ハーシュマン(Jacob Hirschmann)氏らの主導のもと、OCC(米国国通貨監督庁)からの認可とFDIC(連邦預金保険公社)の適用を受け、2026年2月より本格的に業務を開始している。

同行は、AI(人工知能)、防衛、エネルギー、ロボティクス、先端製造業といった先端産業の企業を主な対象とし、成長資金の提供や資産担保型融資を展開。立ち上げからわずか数カ月後の2026年9月時点で預金残高が70億ドル(約1.1兆円)を超えるなど、爆発的な成長を遂げている。

最大の特徴は、独自開発されたブロックチェーン基盤のシステムで、これにより、従来の銀行休業日や週末に左右されることなく、24時間365日リアルタイムでの決済や、各種ステーブルコインの預入・引出にシームレスに対応している。

SBIが描く出資の意図と米国市場での戦略的メリット

SBIホールディングスが巨額出資を決定した背景には、成長著しい米国のデジタルバンキング分野への本格参入と、次世代金融インフラの主導権獲得という狙いがある。

米国金融市場での足がかり獲得:
連邦認可を受け、かつオンチェーン決済に対応した現地の銀行と直接提携することで、米国市場における新たな決済ルートを確保できる。
次世代ノウハウの吸収:
24時間稼働する基幹システムやステーブルコインと接続された銀行インフラの実践的な運用知見を獲得する。

強固な顧客ネットワークへのアクセス:Ereborが強みを持つ防衛やAIをはじめとするディープテック領域の先端企業との金融取引基盤に接近することが可能となる。

現時点で具体的な共同プロダクトの名称などは公表されていないが、将来的に両社間での広範なシナジー創出を目指す方針だ。

国際的なステーブルコイン構想の加速と今後の展望

SBIホールディングスは近年、デジタル資産分野での取り組みを劇的に加速させている。同社はStartale Groupとの共同開発のもと、SBI新生信託銀行を通じた信託スキームにより、日本初の円建てステーブルコインJPYSCを展開。さらに、USDCやRLUSDといった主要な米ドル建てステーブルコインの国内普及を進めており、米リップル社やサークル社への戦略的出資も継続している。

直近でも、世界的資産運用会社ブラックロックらとトークン化MMFとJPYSCの連携検討に関する合意を取り付けたほか、米金融機関CRB Groupとの提携によってクロスボーダー決済におけるJPYSCの活用拡大を推し進めている。

今回、オンチェーン決済の実績を持つErebor Bankへの出資が実現したことで、日本と米国を結ぶステーブルコイン決済基盤やトークン化資産の相互運用性が一段と高まることが期待されている。伝統的金融とWeb3技術を結びつける新たな国際決済網の構築に向け、SBIのデジタル試策はさらなる加速を見せている。

 

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