アニモカ・ブランズ、中東でのファンド運用拡大に向けアブダビADGMの最終ライセンスを取得

アニモカ・ブランズが描く中東金融戦略の全貌

アニモカ・ブランズ(Animoca Brands)は、アブダビの国際金融センターADGM(アブダビ・グローバル・マーケット)にて、投資ファンドを自社で運用・管理するための規制当局による最終認可を取得したことを明らかにした。

かつてモバイルゲーム市場で頭角を現した同社は、近年、ブロックチェーン技術を軸としたエコシステム形成と投資事業へと急ピッチでシフトを進めてきた。今回の認可獲得は、同社が単なるWeb3プロジェクトの投資家・パブリッシャーにとどまらず、厳格な規制下で本格的な金融サービスを提供する機関投資家向け資産運用機関へと脱皮を遂げる上での重要なマイルストーンを意味している。

ADGMにおける金融許可の取得と承認までの経緯

今回のライセンスは、アニモカ・ブランズの全額出資子会社であるAnimoca Asset Management (AD) Limited」に対して付与されたものだ。

交付したのはADGMのFSRA(金融サービス規制当局)であり、付与された金融サービス許可(Financial Services Permission)は2026年10月13日付で正式に発効している。

今認可の最大のポイントは、一般の個人投資家ではなく、プロの投資家や機関投資家など、適格投資家を対象とした集団投資ファンドの設立・管理・運用が可能になる点にある。

同社は2025年11月にすでにFSRAから原則承認(in-principle approval)を獲得しており、今回の最終ライセンス取得によって、約1年にわたる一連の申請・審査プロセスがすべて完了した。また、同社は2024年2月にもドバイで仮想資産の仲介・運用に関する規制ライセンスを取得済みであり、アブダビでの体制が整ったことで、UAE(アラブ首長国連邦)の2大金融拠点において完全な運用プラットフォームを構築したことになる。

Web3企業から正規の金融サービス機関への事業転換

アニモカ・ブランズの歴史は、変化と革新の連続だった。2014年にモバイルゲーム開発企業「Animoca」からのスピンオフによって立ち上げられた同社は、知的財産(IP)を活用したモバイルゲームのパブリッシングを主業務としてスタート。

しかし、2018年を境にブロックチェーン領域へと全面的に舵(かじ)を切り、これまでにNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスのOpenSea、NBA Top Shotなどを手掛けるDapper Labs、人気ゲームAxie InfinityのパブリッシャーであるSky Mavisといった数々のトッププロジェクトに早期出資を行い、巨大な投資ポートフォリオを築き上げた。

現在、同社はさらなる進化を加速させており、投資家向けの最新発表の中で、同社は従来の「Web3関連の事業会社」という枠組みから脱却し、複数の国や地域で規制を遵守した「総合金融サービスグループ」へ移行する戦略を明言。暗号資産ネイティブな企業が伝統的金融(TradFi)の枠組みを取り入れ、より高度で信頼性の高いサービスを提供する動きは業界全体のトレンドとなっており、アニモカはその最前線に立っている。

ステーブルコイン、RWA、トレジャリー管理に寄せる期待

機関投資家の参入を見据えた同社の今後の戦略においては、特に以下の3つの金融ソリューションが重点領域として掲げられている。

ステーブルコイン事業の拡大:
価格の安定性と決済の利便性を備えたデジタル通貨として、従来の金融システムとの架け橋となるインフラの整備。
現実資産(RWA)のトークン化:
不動産、債券、プライベート・エクイティといった実物資産をブロックチェーン上にトークン化し、流動性と取引効率を格段に高めるソリューション。
トレジャリー・マネジメント(財務管理):
暗号資産を保有する企業や機関投資家に対し、資金の安全性と運用効率を両立させるプロフェッショナルな財務運用サービスの提供。

中東地域は、明確な規制枠組みのもとでデジタル資産イノベーションを積極的に受け入れる世界有数のハブへと成長を続けている。アブダビにおける最終ライセンスの取得により、アニモカ・ブランズは中東の豊富な資金力とグローバルなWeb3技術を融合させ、機関投資家からの高まる需要に応える準備を完璧に整えたと言える。今後の同社の展開は、デジタル資産市場の成熟に向けた新たな指標となるだろう。

 

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