アントロピック、米IPOに向け日本投資家に最大35億ドル(約5,529億円)相当の株式売却へ—国内大手証券6社を起用

アントロピックが最大5,529億円規模の日本向け株式販売へ

対話型AI「Claude(クロード)」を手掛ける米・Anthropic(アンソロピック)が、米国市場でのIPO(新規株式公開)に先立ち、日本の投資家向けに最大35億ドル(約5,529億円)相当の株式を販売する大型計画を進めている。

2026年11月2日(月曜日)、関東財務局へ有価証券届出書が提出され、電子開示システム「EDINET」を通じてその概要が明らかになった。今回の取り組みは、同社が目指す米国ナスダック・グローバル・セレクト・マーケットへの上場(ティッカーシンボル:「ANT」)に向けた重要なプロセスの一環である。

日本国内の投資家向け販売においては、みずほ証券が事務主幹事を務めるほか、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券、ゴールドマン・サックス証券、さらに個人投資家基盤を持つ楽天証券およびSBI証券の計6社が注文受付を担当する。みずほや三菱UFJの金融グループがシンジケート団を形成し、国内での募集を強力にバックアップする体制が整えられた。

資金調達の狙いと飛躍的な業績拡大

Anthropicは2021年、ダリオ・アモデイ(Dario Amodei)氏をはじめとする元OpenAIの研究者らによって設立されたAI(人工知能)スタートアップだ。公開された米国上場登録届出書(S-1フォーム)によると、同社の2026年上半期の売上高は前年同期の12億ドル(約1,894億円)から163億ドル(約2.57兆円)へと驚異的な急増を見せており、急成長の只中にある。一方で、積極的な先行投資に伴い営業損失は6億9,300万ドル(約1,093.8億円)に達した。

今回の株式販売およびIPOによって得られる資本は、事業運営費用や運転資金の確保をはじめ、AIモデルの開発・運用に不可欠なデータセンターやコンピューティングリソースなどの設備投資へと投じられる予定だ。また、世界的にし烈を極める高度なAI専門人材の獲得・定着資金としても活用されます。現時点で確定した案件はないものの、将来的な企業買収や他社への戦略的投資の選択肢も視野に含まれている。

国際的な投資家層の開拓と過熱するAI金融市場

今回の株式グローバル展開は日本市場にとどまらず、英国、カナダ、オーストラリア、スイス、および欧州経済領域(EEA)加盟国などの投資家にも参加機会が広げられている。

過去には、6月に実施されたSpaceX(スペースX)の巨額IPO(約11.8兆円規模)において日本市場から22億ドル(約3,472.6億円)分の需要が集まった実績があり、今回のAnthropicへの期待も非常に高く注目を集めている。市場関係者の一部からは、同社の想定企業価値が最大1兆5,000億ドル(約236.7兆円)規模に上ると試算する声も上がっている。

一方で、AI開発における莫大なインフラ費用や計算リソースの資金繰りは業界全体の課題である。Anthropicも「プロジェクト・ノース・スター」と称される630億ドル(約10兆円)規模のチップ調達ファイナンスを進めているが、大手投資会社ブラックストーンからは同社の信用格付けが投資適格未満の「BB(ダブルB)」水準にとどまる可能性について懸念が示されるなど、資金調達コストの上昇圧力が課題として浮き彫りになっている。

なお、金融市場では上場前から本案件への関心が高まっており、分散型取引プラットフォームHyperliquid(ハイパーリキッド)上では同社の推定評価額に連動する無期限先物契約「ANTH」といったデリバティブ商品も登場。ただし、これらは純粋な金融派生商品であり、保有しても実際の株式所有権やIPO時の割り当て権、議決権などは得られないため、現物の株式調達窓口となる国内主要証券6社を通じた動向に大きな関心が寄せられている。

 

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