ロシア、新規則に基づき初の暗号資産取引所と保管機関を公式承認

ロシア中央銀行が初の暗号資産取引所と保管機関を公式承認

ロシア中央銀行は、新たな規制枠組みの下で暗号資産関連業務を行う国内初の事業者群を正式に認可したことがあきらかになった。

これにより、拡大を続ける国内のデジタル資産市場は政府の厳格な監督下に置かれ、合法的なサービス提供に向けた具体的な第一歩が踏み出されたことになる。今年(2026年)8月にウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が署名し成立したAct on Digital Currencies and Digital Rights(デジタル通貨およびデジタル権利に関する法律)が、9月1日に施行された。この経過措置に基づき、今回初めて市場への参入が認められたのは合計9つの組織だ。

内訳は、デジタル通貨の交換を仲介するプラットフォーム(暗号資産取引所)が4社、カストディ(保管・管理)サービスを提供するデジタル・デポジトリー(デジタル資産保管機関)が5社となっている。ロシア中銀は、これらの事業者がそれぞれの公式登録簿に最初に追加された企業であることを明らかにした。

認可された主要金融機関と事業者

従来の暗号資産専業企業に加え、銀行や証券取引所といった既存の金融市場プレイヤーに対しては手続きが大幅に簡素化された。その結果、ロシア国内の資産および市場シェアベースで最大手である国営のズベルバンク(Sberbank)と、第2位のVTB銀行が「デジタル・デポジトリー」としてのライセンスを取得した。

ズベルバンクにおいては、ビットコイン(Bitcoin/BTC)やイーサリアム(Ethereum/ETH)、テザー(Tether/USDT)などの保管・記録管理業務を行うことが国内で初めて承認された。同銀行は、専用アプリを新たにリリースするのではなく、SberBank OnlineやSberInvestments、SberBusinessといった使い慣れた既存のオンラインバンキングインターフェースを通じて、KYC(本人確認)や取引監視機能を備えたサービスを順次提供していく方針だ。まずは限られた顧客を対象にプレオープンし、12月までの本格展開を目指している。
また、VTBも同様に11月から投資プラットフォームを通じたデジタル通貨取引へのアクセス提供を予定しており、12月の取引所開設に向けて準備を進めている。カストディアンの登録簿には両行のほか、トークン化プラットフォームのAtomyze、ブロックチェーン開発企業のVoltari(ボルタリ)、Cloud Infrastructure(Oblachnaya Infrastruktura)が名を連ねた。

一方、暗号資産交換業者のリストには、VTBに加え、T-Bankを傘下に持つT-TechnologiesグループのT-Invest Lab、Zefir、Sistema-crypto(Sistema-Kripto)の4社が追加されている。

事業者が直面するルールと移行期間

登録された各企業は、登録日からデジタル通貨の取引や会計に関するロシアの規則を厳格に遵守する義務を負う。その一方で、すべての業務を包括的な規制枠組みに完全に適合させるための猶予期間として、2027年9月1日までの期限が設定されている。
中央銀行が定めた資本要件=最低自己資本額5,000万〜2億5,000万ルーブル(約9,250万円~4億6,250万円)や、オープン分散型台帳の使用状況などに応じた運営規則が適用される。さらに、健全性規制の草案では、銀行の暗号資産に関するリスク総額を自己資本の1%以内に制限する方針も示されている。

決済の禁止と今後の展望

ロシア国内において、暗号資産を通常の商品やサービスの支払い手段・法定通貨として使用することは引き続き厳に禁止されており、唯一の法定通貨はこれまで通りルーブルに限定されている。2022年以降、国内での支払利用は一貫して禁じられている。

しかしその一方で、海外のウォレットへの送金や貿易決済といった特定の国境を越えた取引においては、ライセンスを取得した国内の正規仲介業者を介することを条件に、デジタル通貨の利用が合法的に認められる仕組みが整えられた。顧客が口座を開設する際には納税者番号(INN)の提示が必須となるなど、マネーロンダリング(資金洗浄)対策や透明性の向上も同時に図られている。

ウクライナ侵攻に伴う欧米諸国の制裁対抗措置として、ロシア当局は暗号資産に対する姿勢を大きく軟化させており、今回の認可を契機に、国内の規制された暗号資産市場は本格的な形成期へと突入している。

 

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