Metaplanetが1万ビットコインを売却・買い戻してまで証明したかったこととは

Metaplanetがビットコインを売却・買い戻しをした理由とは

東証上場の財務戦略企業であるMetaplanet(メタプラネット)が、第3四半期に「1万BTCを売却し、その後1万1000BTCを買い戻す」という異例の大規模トレードを実施した。

一見すると不可解にも思えるこの動きの裏には、暗号資産を大量に保有する企業特有のジレンマと、市場の信頼を勝ち取るための明確な戦略が存在していた。

なぜ「売却して買い戻す」必要があったのか

ビットコイン(Bitcoin/BTC)を積極保有する企業に対して、格付機関や信用投資家たちが常につきつけてきた疑問があり、それは、「本当に債務の支払期日にビットコインを現金化できるのか、そして実際に売却する意思があるのか」という点だ。

日本語訳:
本日、Metaplanetをビットコインを基盤としたグローバル金融プラットフォームへと構築し続ける中で、2つの重要な最新情報をお伝えします。当初から、私たちの戦略は単にビットコインを蓄積することではありませんでした。私たちの目標は、アジアを代表するビットコイン金融会社を構築し、時間をかけて世界を代表するビットコイン金融機関の…

多くの保有企業が「保有し続けること」を美徳とする中、Metaplanetのサイモン・ゲロビッチ(Simon Gerovich)CEO(最高経営責任者)は、言葉による主張ではなく“実際の行動”でそれを示す道を選んだ。同社は第3四半期中に1万BTCを処分し、発行済みの社債や借入金、その他の有利子負債の元本総額を上回る巨額の現金を一時的に確保。実際、四半期末時点の純負債額(現金および米ドル連動型ステーブルコインを差し引いた額)が1,224億円であったのに対し、BTC売却による調達額は1,247億円に達した。

これにより、同社は「必要が迫られた際には、いつでも十分なビットコインを現金化して債務をカバーできる流動性と意思がある」ことを証明してみせた。

他社との違いと、トレードがもたらしたコスト

暗号資産を財務資産とする企業をめぐっては、海外のStrategy社など、同業他社の動向も注目を集めている。同社は過去に流動性の懸念から格付機関による厳しい評価を受け、その後義務の履行等のために一部のBTC売却を行うなど、状況に応じた柔軟な対応を見せてきた。

しかし、Metaplanetの今回の取引は、資金繰りに窮してやむを得ず売却した他社のケースとは性質が異なる。同社は「売却が可能であることの実証」を主目的としており、手元資金を確保した上で、結果的に売却量を上回る1万1,000BTCを買い戻した。BitcoinTreasuries(ビットコイントレジャリーズ)のデータによると、この結果として保有量は差し引き1,000BTC増加し、9月30日時点のグループ総保有量は44,000BTCに到達している。

もっとも、この実証実験には小さくないコストも伴った。平均1,247万円で売却した一方で、約9%高い約1,363万円(約1500億円規模)で買い戻したため、純増分1,000BTCの取得にかかった費用は252億円に上った。また、米国会計基準上では売却損(キャピタル・ロス)が発生し、約9,700万ドル(約153.6億円)の繰延税金資産が生じる可能性があると試算されている(※数値は未監査の暫定値)。

ただし、同社はビットコインを公正価値で評価しているため、この売却損によって新たな会計上の純損失が計上されるわけではない。

「単なる蓄積」から「ビットコイン金融機関」への深化

一連の動きの背景にあるのは、同社が本格的な信用格付けの取得を見据えている点にある。ビットコインによる収益創出事業は8四半期連続で黒字を維持しており、保有量ベースで世界屈指の規模に成長した。

ゲロビッチCEOは、同社の戦略が単にビットコインを買い増して貯め込むことだけではないと強調。今後は継続的な収益源の創出や実質的な資本コストの低減を掲げた「純金利収入戦略」を推進。さらに、米国のビットコイン・トレジャリープラットフォームSuperplanet(スーパープラネット)への資産移転や、Metaplanet Securitiesの構築などを並行させ、「ビットコインを基盤とする金融機関」の確立に向けた統合的なエコシステムづくりを加速させている。

なお、足元では第2四半期と比較してビットコインの純取得ペース自体は鈍化傾向にあるものの、今回の「売却と買い戻し」という大胆な実証を経て、同社は次なるステージへの布石を確実に打ち終えたと言えそうだ。

 

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