Ondo Finance、IPO前のAI株をオンチェーン化:プライベート市場を24時間365日開放

Ondo FinanceがIPO前のAI株をオンチェーン化

RWA(現実資産)のトークン化をけん引するOndo Finance(オンド・ファイナンス)が、IPO前の企業価値に連動する金融商品を提供するOndo Private Markets(オンド・プライベート・マーケット)を新たに立ち上げた。

第一弾として、著名な未公開AI(人工知能)企業を対象としたトークン化商品の取引が開始される。新サービスで提供されるのは、実際の株式そのものではなく、トークン化された「ノート(債券)」だ。投資家がこのノートを保有することで、対象企業が将来的にIPO(新規株式公開)やM&Aといった適格流動性イベントを迎えた際、普通株1株あたりで実現する価値に連動したリターンを受け取れる。

最大の特徴は、ブロックチェーン技術を活用した利便性の高さにある。適格投資家は、取得したノートを自身のセルフカストディ・ウォレット(自己管理型ウォレット)で安全に保管できるだけでなく、セカンダリー市場(流通市場)において24時間365日いつでも取引が可能となっている。これにより、企業が実際に上場を果たす前であっても、市場を通じて流動性を確保し、買い手と売り手が売買を行える仕組みを実現している。

権利と注意点:株式の所有権はなく、参加資格にも制限がある

革新的な利便性を誇る一方で、投資家はいくつかの重要な仕様を理解しておく必要がある。

まず、この商品はあくまで“経済的なエクスポージャー(価格変動リスクへの関与)”を提供するものであり、発行体の債務という扱いになる。したがって、保有者は対象企業に対する実際の株式所有権、議決権、その他の経営参加権利を一切持たない。

また、誰でも自由に購入できるわけではない。Ondo Private Marketsは、管轄区域や適格性に関する厳しい制限が設けられており、原則として米国居住者や「米国人」による購入・取得・償還は禁止されている。適格な米国外の投資家を主な対象として設計されている点に注意が必要である。

情報開示の面においても、上場企業と同等の義務を負わない未公開企業が対象となるため、購入者が得られる情報が限られるという指摘も業界内ではなされている。具体的な発行体や支払額の計算式、利用可能な取引所やDeFi(分散型金融)プロトコルなどの詳細情報は、事前の募集関連書類等で確認することになる。

拡大するRWA市場と今後の展開

Ondo Financeはこれまでも、上場株式やETF、米国債のトークン化事業(Ondo Stocks)を展開してきた実績を持つ。既存のOndo Stocksでは450種類以上の銘柄を扱い、預かり資産総額(TVL)は10億ドル(約1,584.5億円)を大きく超える規模に成長している。

未公開株市場へのアプローチはOndoだけにとどまらず、金融業界全体で活発化している。例えば、Robinhood(ロビンフッド)のベンチャーファンドがOpenAIの普通株に投資して個人向けにエクスポージャーを提供した事例や、シティ(Citi)が未公開企業向けブロックチェーン・マーケットプレイスの構築を進めている動きなど、競合の参入も相次いでいる。

Ondoは、今回のAI企業を皮切りに、今後はロボティクス、サイバーセキュリティ、バイオテクノロジー、インフラストラクチャー、さらには防衛・エネルギー・宇宙関連といった幅広い成長分野の未公開企業へも対象を順次拡大していく計画を掲げている。

伝統的なプライベート市場の障壁を和らげ、オンチェーンインフラを通じて未公開企業へのアクセスを24時間体制で開放する試みは、今後のRWA市場の発展において大きな試金石となりそうだ。

 

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