フランス当局、VRAトークンとドバイ不動産関連詐欺疑惑の捜査を開始
フランスの司法当局およびPNF(国立金融検察局)は、暗号資産ヴェラシティ(Verasity/VRA)の価格操作疑惑と、ドバイにおける数千万ユーロ規模の不動産購入の資金源との関連について、本格的な捜査に乗り出した。
ロシア生まれでフランス国籍を持つスヴェトラーナ・アスタホワ(Svetlana Astakhova)氏が正式な捜査対象として特定されており、組織的詐欺や加重マネーロンダリング(資金洗浄)、犯罪共謀の容疑がかけられている。現段階では有罪判決は下されていないが、事件の全容解明に向けた調査が多角的に進められている。
VRAトークンの激しい価格変動に対する法的追跡
今回の捜査の焦点の一つとなっているのが、2018年に発行されたVerasityのVRAトークンであり、VRAは2021年春の約2カ月半の間に約65倍へと急騰し、その後急速に反落するという極端な値動きを記録。さらに、2021年10月末には史上最高値を更新し、その後の期間でもたびたび急激な価格変動を繰り返してきた。
フランスの捜査当局は、こうした市場での異常な値動きが意図的な価格操作によるものであったのかどうかを精査している。ただし、現時点において、不正な取引やウォレット、具体的な取引所を特定するような取引レベルの客観的な証拠や詳細なフォレンジック結果は公表されておらず、市場価格の急騰そのものがただちに違法行為を証明するわけではない点に注意が必要だ。
1年間で5000万ユーロ超を投じたドバイの不動産ポートフォリオ
捜査当局が特に注目しているのは、スヴェトラーナ氏がドバイで展開している大規模な不動産取得スキームだ。
関連資料や登記簿の調査では、同氏は2022年の一年間だけで5,000万ユーロ(約89.8億円)以上を投じ、約100戸のアパートメントや3棟の高級ヴィラを含む膨大な不動産を取得していたことが判明している。
保有物件はBurj Royale(ブルジュ・ロイヤル)やOpera Grand(オペラ・グランド」など約15棟の建物に分散しており、2022年から2025年の間に少なくとも400万ユーロ(約7億円)の賃貸収益を生み出していた。なかでも象徴的な取引として、2022年6月に約1,740万ユーロ(約31億円)で取得された5階建てのビルAmra Residences(アマラ・レジデンス)が挙げられる。同ビルは後にアブダビの企業へと無償譲渡されましたが、企業登記上の署名権限は引き続き同氏が保持しているとされている。
技術的特許と企業記録から浮上するVerasityエコシステムとのつながり
公開されている特許記録や英国の企業登記情報からは、スヴェトラーナ氏とVerasity関連技術との深い結びつきが確認されている。報酬型動画視聴システムに関する米国の特許には、同氏の名前が創業者らとともに発明者として記載されている。
また、英企業登記局の記録によると、同氏は広告テクノロジーを提供するVeraViews Limited(ベラビューズ・リミテッド)の実質的支配者および唯一の株主であり、その後株式がVerasity関連の別法人へと移転された経緯がある。
こうした過去のビジネス上の関係や企業構造を通じたつながりが、今回の金融犯罪の捜査線上に浮上する大きな要因となっている。
被疑者側の主張と今後の見通し
法的手続きにおいて、正式な捜査対象となることは、あくまで予審判事が捜査継続のための重大な兆候を認めた段階に過ぎず、有罪の確定を意味するものではない。
同氏の元弁護士は過去の取材に対し、不動産資産とVerasityの事業活動との間には一切の関連性がなく、トークンの保有や特許権の放棄、役職への就任もしていないと関与を完全に否定している。しかし、金融検察局や脱税取締国家部隊は、銀行送金や暗号資産ウォレットの資金フローを徹底的に追跡しており、今後の証拠収集や裁判の行方に大きな注目が集まっている。
























