ワンコイン(OneCoin)元コンプライアンス責任者、詐欺行為の罪を認める

元ワンコイン元コンプライアンス責任者が詐欺行為の罪を認める

ワンコイン(OneCoin)の法務およびコンプライアンス部門の元責任者は、40億ドル(約6,054億円)以上の売上と収益を生み出した仮想通貨マーケティングスキームにおける元責任者の役割に関する詐欺容疑で有罪を認めたことが明らかになった。

法務およびコンプライアンス部門の元責任者であるイリーナ・ディルキンスカ(Irina Dilkinska)氏は、電信詐欺の共謀罪1件とマネーロンダリング(資金洗浄)の共謀罪1件を認め、最高10年の懲役刑に処せられるとDOJ(米国司法省)が2023年11月9日(木曜日)に発表。同氏の判決は2月に行われる予定とのことだ。

ルジャ・イグナトヴァ(Ruja Ignatova)容疑者とカール・セバスチャン・グリーンウッド(Kari Sebastian Greenwood)容疑者が2014年にブルガリアで始めたOneCoinは、会員が他の会員を勧誘することで報酬を得るというマルチ商法に依存。このスキームは世界規模で展開され、300万人以上が儲かる仮想通貨の機会だと信じて投資を行い、2014年から2016年にかけて、OneCoinは40億3,700万ユーロ(約6518.6億円)という驚くべき売上高を上げ、27億3,500万ユーロ(約4,416億円)の利益を上げていた。

ディルキンスカ氏は、ニューヨークを含むOneCoinに投資するよう個人を勧誘し、少なくとも4億ドル(約605.4億円)の資金を洗浄するためのペーパーカンパニー設立を支援したと、DOJは3月に申し立てをしている。同氏は表向き、OneCoinの業務が法的基準に準拠していることを確認する責任を負っていたが、その役割はコンプライアンスとは程遠いものであり、スキーム内幕に深く関与し、数百万ドルの不正利益の洗浄を促進した。さらに同氏の行動には、不正に得た1億1,000万ドル(約166.5億円)の収益をケイマン諸島の事業体に送金する手配も含まれており、同氏の有罪答弁は、電信詐欺の共謀罪1件とマネーロンダリングの共謀罪1件を含んでおり、それぞれ最高で禁固5年の可能性がある。

OneCoinに関与した人物らの状況

この事件は、「クリプトクィーン」として知られるイグナトワ容疑者にもスポットライトを当てており、2017年に関連する詐欺罪とマネーロンダリング罪で起訴された同容疑者は、2017年10月にソフィアからアテネへのフライト後に失踪している。

NEXTMONEYの2022年7月4日付け特集記事「FBIは仮想通貨の女王ルジャ・イグナトフを10大指名手配逃亡者リストに追加」で報じているように、同容疑者の失踪は、OneCoin事件の最も興味深い側面の1つであり続けており、2022年6月にFBIの最重要指名手配者リストトップ10に追加された。なお、イグナトワ氏は、逮捕につながる情報に対して10万ドルの報奨金を得て、現在も逃走中である。

また、グリーンウッド氏についても12月、電信詐欺の共謀罪1件、電信詐欺の共謀罪1件、マネーロンダリングの共謀罪1件を認めた。9月に懲役20年の判決を受けている。OneCoinの破綻は仮想通貨コミュニティに大きな衝撃を与えており、まだ規制の足場が固まりきっていない業界における詐欺の可能性を、まざまざと思い知らされる事件となっている。実際、OneCoinとその代表者に対する訴訟は、仮想通貨市場におけるより良い監督と消費者保護を求めるきっかけとなり、急成長するデジタル通貨の世界を利用しようと誘惑する他の人々への警告になっているとのこと。

仮想通貨市場が進化を続ける中、OneCoin事件は投資家と規制当局の両方が、金融の西部開拓時代とみなされがちなこの領域で、仮想通貨市場への警戒の必要性を強調している。

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2022.07.04