MoonPayがNorth Capitalを6,000万ドルで買収
暗号資産決済の大手企業であるMoonPay(ムーンペイ)は、プライベート市場向けインフラプロバイダーのNorth Capital(ノース・キャピタル)を、6,000万ドル(約94.7億円)超の全額株式交換により買収することで最終合意に達した。
両社の取締役会ですでに全会一致で承認されているこの取引により、MoonPayはトークン化されたRWA(現実資産)市場や規制下の証券インフラ分野への本格的な進出を加速させる。
今後は、規制当局の承認や一般的な取引完了条件の充足を経て、North CapitalはMoonPayの完全子会社となる予定だ。
規制に準拠した強固な金融インフラの獲得
米国ユタ州ミッドベールを拠点とするNorth Capitalは、非上場証券(プライベート証券)市場向けの技術および金融サービスを展開する企業で、これまでに発行市場および流通市場において、累計87億ドル(約1.37兆円)以上の取引を支援してきた。
今回の買収が持つ最大の意義は、単なる技術の取得に留まらず、SEC(米国証券取引委員会)の規制下にある各種ライセンスや登録基盤をMoonPayが手に入れる点にある。North Capitalの事業体には、以下の重要な機能が含まれている。
・SEC登録ブローカー・ディーラー
・代替取引システム(ATS)「PPEX」(1,250以上の承認済み資産が流通市場で取引可能)
・SEC登録名義書換代理人(トランスファー・エージェント)
・SEC登録投資顧問会社
これによりMoonPayは、ゼロから機能を構築することなく、非上場証券やトークン化証券の発行、管理、カストディ(資産保管)、清算、流通取引を行うための強固な規制上の基盤を獲得することになる。
トークン化市場とプログラム可能なインフラの構築
MoonPayのイヴァン・ソト=ライト(Ivan Soto-Wright)CEO(最高経営責任者)は、今回の買収の目的について「トークン化された現実資産(RWA)の大量普及を支える規制上の基盤を構築すること」であると説明している。目指しているのは、現代的かつプログラム可能なインフラを通じて、断片化された金融システムの各要素を接続することだ。
RWAのトークン化は、株式、債券、コモディティなどの資産をブロックチェーン上で売買可能なデジタル・トークンに変換する仕組みであり、機関投資家からの関心が急速に高まっている。また、MoonPayは今年(2026年)5月に金融機関とトークン化資産を接続するサービスTradeを立ち上げており、今回の買収はオンチェーン資本市場プラットフォームの構築に向けた極めて重要な布石となる。
決済の枠を超えたMoonPayの積極的な買収戦略
North Capitalの買収は、現物暗号資産決済の提供という従来の枠組みを超えて事業領域を拡大する、MoonPayの今年一連の戦略的買収の一環です。同社はこれまでに、以下の企業を傘下に収めている。
DFlow(Solana上の取引インフラプロバイダー)
Sodot(暗号資産セキュリティおよび鍵管理スタートアップ)
Entendre(AIを活用した財務業務プラットフォーム)
Visa、Mastercard、Discoverといった多様な決済手段への対応に加え、こうしたインフラ系企業の買収を重ねることで、MoonPayは機関投資家向けカストディ、オンチェーン取引、財務業務、そして今回のプライベート市場向け証券インフラへと機能を急速に拡充している。
180カ国・3,500万人以上の顧客と1,500社以上の法人クライアントを抱える既存のプラットフォームと、North Capitalの規制下にある未公開市場インフラが融合することで、今後のデジタル資産金融市場にどのような新しいエコシステムがもたらされるのか、大きな注目が集まっている。























