株式取得と商業契約を同時に実施、USDC流通拡大へ関係深化
大手仮想通貨取引所バイナンス(Binance)は、ステーブルコインUSDCを発行するサークル(Circle)のクラスA普通株を1億ドル(約158億円)相当取得した。
両社は同時にUSDCの普及促進を目的とする5年間の商業契約も締結しており、株式保有とインセンティブ制度を組み合わせた形で提携関係を拡大する。
バイナンスがサークル株123万株を取得、2年間の売却制限も
サークルがSEC(米国証券取引委員会)へ提出した8-K報告書によると、バイナンスは私募を通じ、サークルのクラスA普通株1,237,011株を1株あたり80.84ドル(約12,760円)で取得した。取引総額は1億ドルで、9月17日に完了している。
バイナンスは取得した株式について、原則としてクロージングから2年間、売却や譲渡、担保設定、ヘッジを行うことができない。ただし、関連会社への譲渡や取締役会が承認した買収、法律上必要となる処分などには例外が設けられている。また、一定の条件で商業契約が終了した場合には制限が早期解除される可能性がある。一方、ロックアップ期間中も、バイナンスは取得株式に付随する議決権を保持する。
今回の契約は、両社が2024年11月と2025年8月に締結した従来の契約に代わるものとなる。2024年12月にはアブダビ・ファイナンス・ウィークで最初の提携が発表されており、バイナンスはUSDCを自社製品で利用可能にするとともに、自社財務部門でも保有する方針を示していた。
USDC残高に連動した月額インセンティブ、Arcとの連携も拡大
新たな商業契約では、サークルがバイナンスに対し、サークルのモジュラースマートコントラクトウォレットのインフラを通じて保有されるUSDCの一定割合に基づき、毎月インセンティブ手数料を支払う。
これに対しバイナンスは、自社プラットフォーム全体でUSDCの利用を促進し、各種製品やサービスへの統合を進める。契約期間は5年間で、所定の条件が満たされた場合には、いずれの当事者も満了前に契約を解除できる。
今回の提携は、特に新興市場でUSDCへのアクセスを拡大する狙いもある。バイナンスのリチャード・テン(Richard Teng)共同CEO(最高経営責任者)は、安定したデジタルドルは携帯電話を持つ誰もが利用できるべきだとの考えを示している。
一方、ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)サークル共同創業者兼CEOも、新興市場の個人や企業に対し、USDCを活用した貯蓄や決済サービスを提供する機会があるとの認識を示した。
サークルはこのほか、USDCをガストークンとして利用するレイヤー1ブロックチェーン「Arc」のパブリックメインネットを展開している。バイナンスもArcへのUSDC統合を完了しており、今回の株式取得と商業契約によって、両社の関係はステーブルコインの流通に加え、ウォレットやブロックチェーンインフラへと広がる形となった。
























