Ledger社、改ざん検知機能や修正プログラムを備えたタッチスクリーン搭載Androidウォレット「Atom」を発表

Ledger社がAndroidウォレットAtomを発表

暗号資産ハードウェアウォレット大手のLedger(レジャー)社は、パリで開催された同社のイベント「Op3n」にて、タッチスクリーンとAndroid機能を備えた画期的な新デバイス「Atom」を発表した。

Ledger「Introducing Ledger Atom(日本語訳:Ledger Atomの紹介)」より動画引用

このデバイスは、同社の正規販売ルート(リセラー)を通じて流通した製品から約8,600万〜8,700万ドル(約136億円~137.5億円)相当の資産が盗難された大規模な改ざん被害への決定的な対策として開発された最新モデルだ。


東南アジアで発覚した内部チップ組み込みによる情報流出手法
今回の発表背景には、Ledger Nano Xなど、東南アジアの再販業者CryptoBilis(クリプトビリス)などを経由して販売された同社製品に対する悪質なハッキング工作がある。

LedgerのセキュリティチームDonjon(ドンジョン)の調査によると、犯行グループは正規のデバイスを一度入手した上で内部筐体を開封し、画面に表示される24単語のリカバリーフレーズ(復元フレーズ)を盗み見る「隠しチップ」と「LTE通信用SIMカード」を仕込み、再び流通経路へ戻していた。セットアップ時にこのリカバリーフレーズが外部へ送信されることで、第三者が遠隔からウォレットを復元し資金を流出させる手法だ。

この不正チップは独立して画面読み取りを行っていたため、OSや署名プロセス、セキュアエレメント(Secure Element)本体、同社の純正品チェック機能(Genuine Check)では検知できまなかった。Ledger社は現在、東南アジア6カ国および香港での再販ネットワークを一時停止し、直販サイト以外での流出を防ぐ緊急措置を講じている。

画面制御を物理分離するAtomの強固な改ざん検知・セキュリティ機構

新たに登場したAtomは、単なるウォレットを超えたサイナー(署名デバイス)として設計されており、物理改ざんを直接検知して遮断するシールド構造を採用している。

日本語訳:
あなたの資産はデジタルです。それを管理するデバイスも、それに適したものにすべきです。
Ledger Atomをご紹介します:業界をリードするハードウェアのセキュリティ、日常のアプリの利便性、AIツールの制御、そして急速に拡大するアプリのプラットフォームをすべて、1つの量子対応デバイスに集約。
エージェントが提案します。あなたが承認します。Ledgerサインが実行します。

物理監視シールドと独立バッテリー:
セキュアエレメント、MCU(マイクロコントローラー)、FPGAチップが常に監視領域内に配置され、本体へのドリル穿孔や強制開封の試みを検知する。背面カバーと連携した改ざん検知センサーは、電源オフ時でも独立バッテリーにより稼働し続ける。
画面と操作の物理分離(2つのモード):
この機はAndroid Open Source Project(AOSP)とLedger OSを併用する。日常アプリの利用にはスタンダードモードを用い、取引承認や署名時には画面制御権がセキュアエレメントへ移行し、セキュアモードに自動切り替えされる。これにより、アプリ側の画面偽装や読み取りプログラムを無効化する。
プライバシー保護機能:
物理スイッチを備えており、カメラやマイクへの電力供給を物理的に遮断することが可能。

暗号化メッセージングからSolana Seeker統合まで広がる機能

Atomは6.77インチの有機EL(OLED)ディスプレイ、4,000mAhバッテリー、Qualcomm製「Dragonwing」チップ、データ通信専用eSIMを搭載した先進的なスペックを誇る。

また、Solana Mobile(ソラナ・モバイル)とのパートナーシップにより、1,500以上のdAppsが集まるSolana dApp StoreやSeekerアプリが標準プリインストールされる。これによってユーザーは、高い安全性を保ったままSolanaエコシステムへ直接アクセスできる。さらに今後は、AI(人工知能)エージェントによる自動承認機能Agent Intent(エージェント・インテント)、暗号化メッセージング、耐量子暗号の導入も予定されている。

高価格設定と2027年出荷に向けた懸念事項

Atomは機能面で大きな進化を遂げた一方、既存ユーザーや市場にはいくつかの課題が提示されている。

価格の急上昇:
既存製品(69ドル〜399ドル)の2倍以上となる「849ドル(ファウンダーズ・エディション)」に設定されている。
長期化する出荷スケジュール:
発売は最短でも2027年夏以降と見込まれている。過去にStaxが製造難航により1年以上遅延した経緯があるため、今回のスケジュールにも懸念の声が上がっている。また、現時点では認証手続き段階にある。
既存端末への互換性なし:
今回導入されたコア保護機能は、現在販売されている「Nano」「Flex」「Stax」などの既存モデルには適用されない。現行モデルの購入者に対しては、バックヤード管理の徹底や直販限定での配布といった運用面での安全管理にとどまる。

「Atom」は現在、100ドル(約15,800円)のデポジット(全額返金可能)にて公式ウェブサイト限定で予約受付を行っている。

 

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