連邦監督下での一元的なサービス提供へ
ステーブルコインの基盤インフラを手掛けるBastion(バスティオン)は、OCC(
米国通貨監督庁)より全米信託銀行免許(national trust bank charter)の条件付き予備承認を獲得したことを明らかにした。
この認可により、同社のニューヨーク州信託会社は「Bastion Platforms National Trust Company」へと移行する手続きを進めることとなる。残された要件を満たした段階で、従来の州レベルのライセンスに加え、連邦政府による厳しい監督体制が適用される。また、これによってステーブルコインの発行やカストディ(資産の保管・管理)、ウォレット機能、顧客の法定通貨とUSDCの交換といった主要業務が、単一の規制対象事業者として統合される見通しだ。
ホワイトラベル発行で参入障壁を低減
今回の承認における最大の注目点は、単なる資産保管にとどまらず、ホワイトラベルによるステーブルコイン発行支援や関連サービスが認められた点にある。
自前で高度なシステムをゼロから構築することなく、企業が米ドル連動型トークンの運用プログラムを導入可能となるため、フィンテックや一般企業における採用が一段と加速すると期待されている。
なお、同社は独自のステーブルコインを直接発行するのではなく、金融機関やパートナー企業の基盤を支える役割を担う。ナシム・エデキウアク(Nassim Eddequiouaq)CEO(最高経営責任者)は、ステーブルコインが単なる実験的技術を超えて重要金融インフラへと発展したとし、それに相応しい高いガバナンスと規制遵守の重要性を強調した。
商業銀行とは異なる特有の権限と制限
OCCの決定に基づき、Bastionは連邦規制に沿った信託業務を提供できる一方で、一般的な商業銀行とは性質が異なる。認可範囲には預金の受け入れや一般的な融資、FDIC(連邦預金保険公社)の適用は含まれない。また、FRB(連邦準備制度理事会)の決済システムへの自動アクセス権を得るわけではなく、事前に連邦準備銀行の株式を取得するなどの条件履行が必要だ。
それにもかかわらず、既存の暗号資産金融が抱えていた信頼性の課題を克服し、連邦レベルの強固な枠組みを活用できる点に大きなメリットが存在する。
GENIUS法施行に伴う暗号資産企業の申請ラッシュ
米国では2025年に成立したGENIUS法などを背景に、デジタル資産関連企業による全国信託銀行免許の取得申請が相次いでいる。
Circle(サークル)やBitGo(ビットゴー)、Paxos(パクソス)といった主要プレイヤーが認可を進めるほか、リップル(Ripple)やクラーケン(Kraken)の親会社であるペイワード(Payward)などの競合他社も追随の動きを見せている。
規制当局や立法府の一部からは、既存の銀行規則を迂回する懸念についての慎重論も提示されているものの、法的判断として連邦銀行法上の信託業務に該当すると見なされた。主要VCや大手企業からの資金調達・後押しを受けるBastionの動きは、ステーブルコインが主流の金融システムへと深く組み込まれる大きな転換点となりそうだ。























