欧州の法人・機関投資家向けに規制対応のデジタル資産保管サービス
ドイツ銀行(Deutsche Bank AG)は、欧州の法人および機関投資家を対象としたデジタル資産カストディサービスを年内に開始する計画を発表した。
関連する規制手続きの完了を条件に最初の顧客受け入れを始める予定で、ビットコイン(Bitcoin/BTC)やイーサリアム(Ethereum/ETH)、一部のステーブルコインなどを対象に、安全かつ規制に準拠したカストディサービスを提供する。新サービスでは、ドイツ銀行が顧客に代わってウォレットと秘密鍵を管理し、保管したデジタル資産を第三者へ移転できる仕組みも提供する。これにより、顧客側で独自のカストディインフラを構築・維持する負担を減らせる。
サービス開始時には、ビットコインとイーサリアムに加え、USDC、EURC、EURAUなどのステーブルコインまたは電子マネートークンをサポートする予定だ。今後は顧客需要や商品承認、リスク管理、規制手続きに応じて対象資産を広げる可能性があり、トークン化された金融商品もロードマップに含まれている。
セキュリティ面では、安全な鍵生成やハードウェアベースの保護、職務分掌、複数人による承認、独立したウォームストレージとコールドストレージ、冗長化された技術構成、バックアップおよび復旧体制などを採用する。特定の技術部分では、選定された外部のテクノロジーおよびインフラプロバイダーも利用する。
対象となるのは、同行の法人銀行部門および投資銀行部門の顧客で、企業、資産運用会社、ヘッジファンド、カストディアン、ブローカー、政府機関などが含まれる。顧客の受け入れは、同行の基準やデューデリジェンス、リスク許容度に基づいて行われる。
MiCA対応を進め10月のライセンス取得見込む、欧州銀行の参入相次ぐ
サービス開始には、EU(欧州連合)のMiCA(仮想通貨市場規則)に基づく規制手続きの完了が必要となる。同行の広報担当ハインリッヒ・フロムスドルフ(Heinrich Frömsdorf)氏によると、10月にカストディ関連のMiCAライセンスを取得する見込みで、その後に最初の顧客受け入れを進める計画だ。
ドイツ銀行の法人銀行部門共同責任者ジェラルド・ポドブニク(Gerald Podobnik)氏は、デジタル資産について、従来の金融システムに取って代わるものではなく、それを補完する重要な存在だとの認識を示した。既存の市場インフラと共存しながら、規制された金融機関による信頼性や安全性を備えたアクセス手段を顧客に提供することを目指すとしている。
同行は以前からデジタル資産分野への取り組みを進めており、2023年にはスイスのTaurus(トーラス)と提携し、ドイツでデジタル資産カストディライセンスを申請した。2025年には、Bitpanda(ビットパンダ)のカストディインフラを統合しながら、Taurusと協力して法人・機関投資家向けサービスを構築すると報じられていた。
欧州では、バーデン=ヴュルテンベルク州立銀行やDZ銀行、コメルツ銀行なども仮想通貨カストディ分野へ進出しているほか、スタンダードチャータード銀行(Standard Chartered Bank)やBBVA(バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア)も機関投資家向けサービスを提供している。世界的にもBNYメロン、ステート・ストリート、USバンク、シティグループなど大手金融機関による参入が続いており、ドイツ銀行も規制された金融機関によるデジタル資産インフラ整備の流れに加わる形となる。
なお、サービスの開始時期や対象地域、対応資産、提供範囲は、規制要件や社内承認、市場動向、顧客需要などによって変更される可能性がある。
























